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テンプレート:子記事 銀河英雄伝説の戦役(ぎんがえいゆうでんせつのせんえき)では、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の戦役及び戦闘について記述する(一部非戦闘の項目を含む)。

概要 編集

本項は、銀河英雄伝説の本編及び外伝で執筆された「創作上のリアルタイム」に登場する戦役、及び独立した戦闘を、原則として時系列に沿って記述する。戦役の中に含まれると思われる戦闘も、特記すべき戦闘に関しては別項を設けて記述する。一部戦闘とは呼べない事件(キルヒアイスの死亡等)を、物語上重要な場面であれば項目として含む。

テンプレート:ネタバレ

西暦時代 編集

13日間戦争~90年戦争 編集

西暦2039年、当時の人類社会唯一の生存圏だった地球を二分していた勢力である北方連合国家(ノーザン・コンドミニアム, テンプレート:Llang)と三大陸合州国(ユナイテッド・ステーツ・オブ・ユーラブリカ, テンプレート:Llang)が全面戦争に突入した。13日間に渡って熱核兵器を大気圏内で大量に使用した結果、世界の主な都市は壊滅状態となった。その後の90年間は、地球各地で戦乱が続いたが、同2129年、地球統一政府が樹立され、それにともなって戦争は一応終結した。

シリウス戦役 編集

西暦27世紀になって、地球政府及び軍の肥大化に伴い、各植民星からの搾取が拡大した。植民星側は軍の縮小や植民星側の自治の確立などを求めていたが、あくまでも自分達の既得権益を守ろうとする地球側はその要求に応じず、さらに反地球派の代表的存在であるシリウス政府を公敵に仕立て上げ、シリウスこそが地球にとって代って人類を支配しようとしているという宣伝工作を始めた。ところがこれが裏目に出て、植民星側の多くはシリウスを支持する様になってしまった。

この事態に窮した地球政府は、西暦2689年、シリウスが植民惑星の警備隊を集めて合同訓練を行った事等を口実に先制攻撃を行い、主星である第6惑星ロンドリーナを制圧、ラグラン市事件を含む徹底した掃滅と略奪を行った。だが、その中から、後に「ラグラン・グループ」と呼ばれる4人が脱出に成功、同2691年2月28日、プロキシマ系第5惑星プロセルピナで一堂に会し、この4人によって反地球組織及び軍(ブラック・フラッグ・フォース)が整備された。以後、数々の戦闘に勝利し、同2703年、地球の孤立化に成功。同2704年に全面攻撃を敢行し勝利した。

ヴェガ星域会戦 編集

シリウス戦役内に於ける、地球軍とブラック・フラッグ・フォースの戦い。正確な日時は不明(時系列上は西暦2701年から2703年の間に起こっている)。それまで、ジュリオ・フランクール率いるブラック・フラッグ・フォースは、地球軍の有能な3人の提督の前に一度ならず敗北していたが、本会戦に於いてはその3提督の連携が乱れ、フランクールは各個撃破によって勝利を納めた。ことに第二次ヴェガ星域会戦においては6万隻の地球軍が8000隻の黒旗軍(OVA版では地球軍2万に対して黒旗軍6000隻)に大敗を喫した。これ以降の84回の戦いは全てブラック・フラッグ・フォースが勝利し、更に本会戦の敗北を利用してチャオ・ルイユンが3提督に謀略を仕掛けて殺害、地球軍は戦闘能力を大幅に減らされるに至った。

地球攻略戦 編集

ヴェガ星域会戦の後、ブラック・フラッグ・フォースは84回の戦い全てに勝利し、その勢いを駆って地球へと進撃する。この時、フランクールは全面攻撃を主張し、チャオは地球を完全に包囲しての持久戦を提案した。パルムグレンは折衷案として2ヶ月間の持久戦の後に地球全土に全面攻撃を仕掛けた。地球統一政府の首脳陣はヒマラヤ山脈に建設された巨大地下シェルターに大量の物資と共に避難しており、しかも地上の地獄絵図を肴にして享楽に耽る有様だった。これに激怒したフランクールは地球上に降下し、数億tの水をシェルターに注水して内部にいた人間を皆殺しにする。注水直前に統一政府から和解の使者が訪れるが、フランクールは聞く耳を持たなかった。その後、焼け残った都市部ではシリウス軍による徹底的な略奪と殺戮が行われ、「ラグラン市事件が100倍の規模で再現された」と評されている。この戦いの結果、地球は人類の盟主の座から転がり落ち、時が経つにつれて人々から忘れ去られていった。なお、ヒマラヤ山脈は地形が変わるほど爆撃されたが、地下シェルターは健在で、後に地球教の総本部として使用されている(この戦いより800年後の地球教討伐作戦で爆破される)。

宇宙暦時代 編集

M・シュフランとC・ウッドによる宇宙海賊平定 編集

宇宙暦106年から2年間、銀河連邦が宇宙海賊の一掃を目的として行った一連の戦闘作戦。クリストファー・ウッド及びミシェール・シュフラン両提督の活躍が大きかった。特にクリストファー・ウッドの功績は伝説的なものとなり、後世において、同じ任務に就いていた時のルドルフ・フォン・ゴールデンバウムや、アスターテ会戦で多大な戦果を挙げたラインハルト・フォン・ローエングラムが、賞賛の意味で「ウッド提督の再来」と呼称されるに至った。

ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの宇宙海賊平定 編集

宇宙暦288年、少尉として任官したルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが、その後様々な事情から中尉に昇進してペテルギウス方面(宇宙海賊のメイン・ストリートと称される宙域)に転属した。ルドルフはそこで積極的に宇宙海賊の掃滅を行い、降伏と裁判を望む相手を宇宙船ごと焼き殺すという、批判とそれ以上の賞賛を得るやり方を採った。これによってルドルフは多くの市民から英雄視される事となり、宇宙暦296年、28歳で少将となって軍籍を退き、政界入りした。

ルドルフの民衆弾圧 編集

宇宙暦310年、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは銀河帝国の樹立を宣言して皇帝となり、帝国暦が採用された。帝国暦9年、劣悪遺伝子排除法が発布され、当時の全人口3000億人の内40億人を「排除」した。

旧帝国暦時代 編集

ルドルフ死後の反乱と鎮圧 編集

帝国暦42年にルドルフが死亡し、それがきっかけとなって帝国各地で共和主義者による叛乱が続発した。第2代皇帝ジギスムントの父であるノイエ・シュタウヘン公ヨアヒムが鎮圧の指揮を執り、叛乱に参加した5億人を殺害してその家族など100億人以上を農奴階級に落とした。ヨアヒムの死後も弾圧は続き、それがアーレ・ハイネセンの長征一万光年に繋がっていく。

アーレ・ハイネセンの長征一万光年 編集

帝国暦164年、アルタイル星系で農奴階級に落とされていた共和主義者のひとりであるアーレ・ハイネセンが、社会秩序維持局の目を盗んでドライアイスの巨大な塊を掘り抜いて動力その他各種設備を設置、宇宙船「イオン・ファゼカス号」として、40万人の男女とともにアルタイル星系を脱出。無名の一惑星の地下で80隻の恒星間宇宙船を建造して銀河系の深遠部へと向かった。半世紀に及ぶ過酷な道程の後の帝国暦218年、生き残った約16万人が居住可能な惑星を発見してハイネセンと名づけ、宇宙暦(527年)を復活させて自由惑星同盟成立を宣言、長征一万光年を終了させた。なお、アーレ・ハイネセンは長征の途中で事故の為に死亡。親友だったグエン・キム・ホアが後を継ぎ、そのグエンも老いて失明していた。

旧帝国暦/宇宙暦時代 編集

トラーバッハ星域会戦 編集

宇宙暦562年/帝国暦253年。リンダーホーフ侯エーリッヒが「流血帝」皇帝アウグスト2世に対して起こした叛乱。

史上最悪のシリアルキラーであった「流血帝」アウグスト2世による殺戮の嵐は留まる所を知らず、遂には自分を除く皇族をあらかた殺し尽くした。そんな中、辺境のリンダーホーフに皇族の血を引くエーリッヒが落ち延びた事を知ったアウグスト2世は最後の獲物と狙いを定め、オーディンへの出頭を命じた。無論、おとなしくオーディンへ行けば殺されるのは明白であった。追い詰められたエーリッヒは自らの身を守る為、やむなく皇帝に対して叛乱を起こす。その際、毒薬の入ったペンダントを身に付け、叛乱が失敗に終わった時は無残に殺される前に自害する覚悟を固めていた。敗死を覚悟で起ったエーリッヒだが、彼の予想に反して叛乱軍には多くの貴族や軍人が集まり、瞬く間に大勢力へと成長する。トラーバッハ星域で皇帝軍と戦闘になるも、皇帝軍のほとんどが戦わずしてエーリッヒ軍に投降した為、戦闘らしい戦闘は発生しなかった。そして、トラーバッハでの戦いに決着が付いた頃、アウグスト2世は側近のシャンバークによって殺害され、オーディンに乗り込んだエーリッヒは皇帝エーリッヒ2世として即位する。そして、「止血帝」エーリッヒ2世の最初の仕事は、シャンバークを「流血帝」を倒した英雄として賞賛し、しかるのち「流血帝」の大量虐殺の共犯者として銃殺に処することだった。

ダゴン星域会戦 編集

宇宙暦640年/帝国暦331年7月14日~22日。帝国軍と同盟軍の、初めての本格的な艦隊戦闘。なお、この戦いを描いた原作小説は、当初通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

2月頃に本戦の前哨となる遭遇戦が発生し、帝国軍が初めて同盟(帝国は叛徒と呼称)の存在を認識、時の皇帝であるフリードリヒ3世の3男ヘルベルト大公が司令官となって討伐部隊が結成された。帝国軍の兵力は艦艇52,600隻/将兵4,408,000人。ただし司令官のヘルベルト大公は軍事の素人であり、彼が選んだ上層部の半数も非軍人であるヘルベルトの取り巻きの貴族。残り半数はインゴルシュタット中将など相応の軍事能力を備えた幕僚。一方の同盟軍はその半数の兵力ながら、軍事/指揮能力の優秀さだけは誰も疑わなかったリン・パオ中将を総司令官に、ユースフ・トパロウル中将を総参謀長に据え、迎撃の準備を整えた。

7月8日、同盟軍の駆逐艦ヤノーシュがイゼルローン回廊の出口付近を哨戒中に帝国艦隊を発見、同14日に先鋒の分艦隊どうしがダゴン星域で戦闘状態にはいったが、お互い逃げ腰で長距離砲撃を行ったのみで双方とも損害無しだった。その後、インゴルシュタットはダゴン星域の不安定で索敵が困難な地勢を考慮し、密集隊形での迎撃に徹して相手の戦力を消耗させる策に出た。16日の戦闘で同盟のオレウィンスキー艦隊が戦術的敗北を喫して3割の損害を出すと、リン・パオは帝国軍に相応の戦術能力がある事を認め、戦闘の勝利より相手の疲弊と撤退を優先させる事を考えた。

一方、この勝利に気を良くしたヘルベルトはインゴルシュタットの戦法を無視して17日に全面攻勢を命じ、敵情も把握しないまま艦隊を放射状に分散させる愚を犯した。18日に帝国軍が動いたという(常識外の)報告を受けたリン・パオとユースフ・トパロウルは、最初は敵の周到な作戦かと疑い、同日の戦闘でも後手に回ったが、19日になって帝国軍が素人の感情論で動く「あほう(リン・パオの発言。ユースフ・トパロウルも即座に賛成している)」である事に気がつき、当初の宙域に残っていた帝国軍本隊を全兵力で攻撃する事を決断した。16時、リン・パオは攻勢に転じ、一旦は阻止されたが、18日に特命を受けて後方のかく乱を勤めていた同盟軍エルステッド艦隊の活躍がこの頃から功を奏し始め、翌20日に帝国軍バッセンハイム中将の艦隊が崩壊、同中将が戦死した。それで激怒したヘルベルトは分散した艦隊に再結集を命じたが、同盟軍はそれを傍受し、敵が集結したところを一挙に包囲殲滅する事を命じた。21日0時40分、同盟軍ウォード中将の艦隊が帝国軍左翼を攻撃し、さらに反対方向からアンドラーシュ艦隊が突進。帝国軍のハーゼンクレーバー提督は乗艦もろとも四散した。この攻撃によって更なる密集隊形を取らざるを得なくなった帝国軍に対して同盟軍は全面攻撃を敢行、22日4時30分、帝国軍はほぼ消滅した。生存率は8.3パーセント。ヘルベルト大公は生きて帰ることができたが、そのまま精神病院に幽閉され、皇位を継ぐことができなくなった。またインゴルシュタット中将は敗戦の責任を取らされて銃殺となった。

コルネリアス1世の大親征 編集

宇宙暦669年/帝国暦359年5月。コルネリアス1世による同盟領侵攻作戦。ゴールデンバウム王朝唯一の親征。

帝国暦350年に即位したコルネリアス1世は、名君と呼ばれたマクシミリアン・ヨーゼフ2世の業績を超える事を企図して自由惑星同盟領への侵攻作戦を決定する。いわゆる「距離の暴虐」を唱えていたミュンツァーは侵攻に反対するも、ダゴン星域会戦の報復を行うという名目があった為、積極的に反対する事は出来なかった。
侵攻作戦は前回の失敗を教訓に、入念な下準備と同盟領への強行偵察、そして三度にわたる(臣従を前提とした)和平使節の派遣までもが数年がかりで行われ、宇宙暦669年/帝国暦359年5月、コルネリアス1世自らが率いる艦隊が侵攻を開始した。同盟でもこの動きに呼応して迎撃艦隊を差し向けるも、入念な準備を行っていた帝国軍の構えは磐石で、「第1次ティアマト会戦」で大敗を喫する。その後も帝国軍の快進撃は続き、一気にハイネセンを制圧するかに思えたが、首都オーディンで宮廷革命が起こった為、やむなく撤退を余儀なくされた。
この侵攻の結果、銀河帝国と自由惑星同盟は恒常的な戦争状態に突入するが、互いに決め手を欠いたまま150年もの長きに渡って戦争が続き、両国は急速に国力を疲弊させていく。
なお、この戦いではコルネリアス1世は59人もの元帥を引き連れて侵攻するが、その内35人が戦死。以後、新たに元帥号を授ける事は無かった。

ドラゴニア会戦 編集

具体的な日時、詳細は不明。ブルース・アッシュビーが指揮した戦いで会戦後帝国軍に対し「叩きのめしたのは自分だ」と打電して送っていることから、同盟軍が勝利したものと考えられる。この挑発的な電文はアッシュビーが会戦で勝利する度に帝国軍に送っているものの一つで、後年になってヤン・ウェンリーがアッシュビーを調べる際の資料として閲覧している。

第2次ティアマト会戦 編集

宇宙暦745年/帝国暦436年12月5日~11日。帝国軍と同盟軍の戦い。

同盟軍の兵力は6個艦隊/艦艇48,000隻/363万6000人。総司令官は当時の同盟軍宇宙艦隊司令長官であるブルース・アッシュビー大将、35歳。艦隊司令官はウォーリック、ジャスパー、コープ、ファン、ベルティーニの各中将。総参謀長のローザス中将を含め全員が730年マフィアであり、各人の艦隊指揮能力は非常に高かったが、今回は何故かアッシュビーが異様に高圧的な態度であった為、各提督(特にコープ)から不平の声が挙がっていた。これが後にヤンが調査を担当するアッシュビーの謀殺疑惑に繋がっていく。なお、当時軍曹だったアレクサンドル・ビュコックが砲術下士官として戦線に参加している。

帝国軍の兵力は7個艦隊/艦艇56,000隻/将兵650万人(アニメ版のデータ。原作小説では同盟側のデータとしてややあいまいな幅が記述されている)。総司令官は当時の帝国軍宇宙艦隊司令長官であるツィーテン元帥、55歳。艦隊司令官はシュリーター、コーゼル(以上大将)、ミュッケンベルガー(グレゴールの父親)、シュタイエルマルク、カイト、カルテンボルン(以上中将)。ミュッケンベルガーは叔父(或いは伯父)である故・ケルトリング軍務尚書の弔い合戦を将兵に訓辞したが、シュタイエルマルクはこれに批判的だった。なお、コーゼル艦隊の情報参謀として、ケーフェンヒラー大佐が参加している。

両軍とも兵力展開は12月4日に行われ。翌5日9時50分から砲撃戦が開始された。艦隊運用による一進一退の激戦が続く中、6日14時30分、コープの同盟第11艦隊の攻撃によりミュッケンベルガー中将が戦死。その後も各提督の指揮能力が発揮されて戦果を上げていったが、帝国軍もシュタイエルマルク中将以下諸将がこれに的確に対処して、8日から10日にかけて戦況は膠着した。11日16時40分、帝国軍は繞回運動によって同盟軍側背に2倍の戦力を集中させる事に成功、同盟軍第9艦隊のベルティーニは敵攻勢の中戦死した。しかし18時10分、アッシュビーが強引に各艦隊から抽出編成した直属艦隊が帝国軍の左側面から突入して帝国軍を壊乱させた。ここから50分までが、いわゆる軍務省にとって涙すべき40分となり、帝国軍はシュタイエルマルク艦隊を除いて戦線崩壊、勝敗が決した。

だが同日19時7分、同盟総旗艦「ハードラック」が流れ弾で被弾し、艦橋まで被害が広がった。アッシュビーは爆発によって飛来した破片で腹部を切り裂かれ、19時9分に死亡した。

パランティア星域会戦 編集

751年 前年同盟軍宇宙艦隊副司令長官に就任したジョン・ドリンカー・コープが指揮した戦いで、彼が指揮をしたと思えないほどの指揮ぶりで帝国軍に惨敗し、30万人の戦死者を出しコープも戦死している。フレデリック・ジャスパーが援軍として駆け付けるが、コープの戦死後で、撤退する帝国軍に撃ち一矢報いたものの、コープを見殺しにしたのではないかという疑惑が立ち、それを信じたコープ夫人がジャスパーを非難している。

エル・ファシルを巡る戦い 編集

宇宙暦788年/帝国暦479年5月~9月。同盟外縁部のエル・ファシル星系において発生した帝国軍小艦隊と同盟守備部隊との戦いと、その後に生じた一連の出来事を指す。なお、それまで断片的にのみ語られていた本エピソードは、アニメ外伝「螺旋迷宮」第1話「エル・ファシルの英雄」で話としてまとめられた。

当初は単なる小競り合いと思われていたが、守備部隊の司令官であるアーサー・リンチ少将が指揮と運用を誤って帝国軍に背後から急襲される事態となった。(アニメ版では撤退したと見せかけた帝国軍が、艦隊を反転させた直後のリンチ艦隊に後背から襲い掛かる事になった。)リンチはエル・ファシルへの撤退を命じたが、この時艦列のたて直しを怠った為、約半数の艦艇が撃沈もしくは投降した。惑星エル・ファシルには艦隊約200隻/兵力50,000人が逃げ込んだが、帝国軍はエル・ファシルを占拠しようと増援を繰り出して来た。

帝国の支配に怯えるエル・ファシル在住の民間人は脱出と保護を軍に求めてきたが、それを重視出来ないリンチは、警備艦隊幕僚の中で一番暇そうなヤン中尉に任務を命じた(アニメ版では手の空いている者に対応させろと命じ、命じられた士官が周囲を見回して、手持ち無沙汰のヤンに目を止めたという形になっている)。命令を受けたヤンは、その年齢と階級、そして後にも度々ヤンの個性として登場する「外見の頼りなさ」から、民間人の代表者達に担当官としての技量を不安視されたが、艦船の手配を初め必要な準備は整えた。この時、当時14歳だったフレデリカサンドイッチコーヒーの差し入れを受けたが、ヤン自身は再会した時全く覚えていなかった。

その後、提出した脱出計画書に見向きもしないリンチの態度を見て司令官の思惑に気が付いたヤンは、密かに別の計画を立て始めた。やがてリンチ及び一部幕僚が民間人を見捨てて脱出(リンチ本人は後に救援を呼んでくる為に先発しただけと主張。ただしそれを事前に告知していないなど矛盾が多い為、誰も信じていない)。だがこの事を予測していたヤンはかねてより考えていた計画を開始。混乱する民間人をまとめ、リンチ達が帝国軍に追跡・拿捕される時間を利用して別の方角から逃走、敢えて帝国軍のレーダーに捕らえさせ、隕石群であると勘違いさせて脱出に成功した(「螺旋迷宮」ではリンチ脱出後まもなく民間人の脱出計画を開始したが、本編17話では時間が経って脱出計画を開始したような描写になっている)。

この功績により、ヤンは二階級特進し少佐となった。ただし、不文律により生者に二階級特進を与えることが妨げられたため、同年9月19日に中尉から大尉、さらにその6時間5分後に少佐に昇進という異例の措置がとられた。また、「エル・ファシルの英雄」として同盟全土に名前が知れ渡ることになる。

惑星エコニアの騒乱 編集

不正蓄財をしていた惑星エコニアの捕虜収容所所長コステア大佐は、ヤン・ウェンリーが赴任してきたのを査察に来たと誤解、若手捕虜のプレスブルグ中尉を騙して暴動を起こさせ、そのどさくさにまぎれてプレスブルグもろともヤンを抹殺しようと企む。ヤンと彼と同行していたパトリチェフは、捕虜の大物ケーフェンヒラー大佐に助けられて逆にコステアを拘束。最終的には上層部からムライが派遣されて事態を収拾し、大佐は正式に逮捕、ヤンたちはお咎めなし、ケーフェンヒラー大佐は恩赦を受けた。

惑星カプチェランカの戦闘 編集

宇宙暦791年/帝国暦482年7月、ラインハルト(少尉)とキルヒアイス(准尉)が惑星カプチェランカの帝国軍前線基地BIII(ベー・ドライ)に赴任した時の戦闘および関連した事件(ただしこの星の天然資源の争奪戦そのものは二人が赴任してくる以前から恒常的に発生していた)。なお、この戦闘を描いた「白銀の谷」の原作小説は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

ベーネミュンデ侯爵夫人及びグレーザー医師の意を受けた基地司令官のヘルダー大佐が、部下で共謀者のブーゲンベルヒ大尉を通じて、ラインハルトとキルヒアイスの二人に機動装甲車による敵情視察を命じた。この車には途中で水素電池のエネルギーが不足する様に細工がなされ、厳寒のカプチェランカで立ち往生する様に仕向けられていたが、二人は現場を哨戒していた同盟軍の装甲車3両を襲撃して電池(及びデータ)を奪い窮地を脱した(これがラインハルトとキルヒアイスにとって最初の実戦と戦果になった)この時2人は同盟の装甲車が脳波コントロール操縦システムを使っており、マニュアル操縦が不可能であると知る(OVA版の描写。原作では単に脳波検出装置によるセキュリティのみ)。さらにラインハルトは、ヘルダーに命じられて謀略の成果を確認にきたブーゲンベルヒに対して困窮した様子を演じ、真意を聞き出した後射殺した。ラインハルトはヘルダーに懲罰の鞭をくれる事を考える(原作小説の描写はここで終わる)。

(以下はOVA版のみの描写)ヘルダーへの逆撃を画策したラインハルトは、同盟軍から得たデータを使ってヘルダーを罠にかける事を考えた。ちょうどBIIIを攻撃している最中の同盟軍装甲車に偽のデータを送って、脳波コントロール操縦システムを使っている装甲車を停止させてしまった。武勲を立てた後に帰還したラインハルトは、ヘルダーの謀略に気が付いていないふりをしながら、敵基地の所在報告と、同盟側がデータの書き換えを行う前に攻撃する事を提案し、ヘルダーに疑心暗鬼を生じながら戦場に連れ出す事に成功した。戦闘そのものは装甲車が使用不可能になった同盟側があっさり敗北した。一方ラインハルトは、ヘルダーの命によって孤立した状態に追いやられ、ヘルダーと1対1で対決せざるを得なくなる。戦闘経験で一日の長があるヘルダーに一旦は追い込まれたが、キルヒアイスの援護によってヘルダーの捕獲に成功した。だがヘルダーは自分の行動が大逆罪に準じると告げられ、一族皆殺しの可能性を思いやり我を失ってしまい、錯乱した挙げ句クレパスに転落死する。現場に居合わせて真相を知った副司令官マーテル中佐は、宮廷の陰謀に巻き込まれる事を恐れ、ラインハルトの願いを却下し事実証言を拒否。その代わりとしてラインハルトに昇進と艦隊勤務に就ける様推薦する事を約束した。ラインハルトは不満ながらも、その条件で諦めた。

この数年後、BIIIは同盟軍の再攻撃によって陥落、司令官に昇進したマーテル大佐以下全将兵が玉砕している。

道原かつみ版コミック、黄金の翼では、ラインハルトの命を狙うクルムバッハ少佐は同盟軍との戦いで戦死したことになっているヘルダー大佐は、実はラインハルトに殺されたのではないかと疑っている。また、同じくコミック本編では惑星カプチェランカと環境が酷似した戦場でミッターマイヤーとロイエンタールが地上戦を行なっていることが描かれている(OVA版では惑星カプチェランカとテロップが出されて、2人の地上戦の様子を描いている。ミッターマイヤーの回想から、帝国暦483年以降と推測される)。

ハーメルンIIの戦闘 編集

宇宙暦791年/帝国暦482年8月イゼルローン要塞第237駆逐隊所属の旧式駆逐艦ハーメルンII(ツヴァイ)が参加した戦い(というより逃避行)。惑星カプチェランカの戦闘後に宇宙艦隊勤務になったラインハルト(中尉)が航海長として、キルヒアイス(少尉)が保安主任として勤務していた。なお、このエピソードを描いた「叛乱者」はアニメ版オリジナルで、孤立した艦内での緊迫した人間ドラマが戦争映画風に展開されるという、大局から描かれた原作や他の外伝とはかなり趣が異なる異色作である。

8月27日、ハーメルンIIは駆逐隊に命じられたイゼルローン回廊哨戒任務遂行の為要塞を出港。9月2日、同盟側約6光年の距離にあるアルトミュール恒星系の小惑星帯で同盟軍の奇襲に遭遇。ハーメルンIIは左舷下部に被弾し艦長のアデナウアー少佐が負傷。指揮不能となった為、その時点で艦橋にいたクルー中、最高位のラインハルトが指揮を引き継いだ。この時僚艦は通常の行動規定に添って面舵を取ったが、ラインハルトは敵の伏兵の存在を見越して取舵を命じた。後から艦橋に着いた副長のベルトラム大尉がそれを承知せず、指揮権を奪って航路の変更を命じたが、ラインハルトは艦長の命令を盾に指揮権委譲を拒否した。両者が言い争っている最中に、面舵をとった僚艦が待ち伏せに遭遇して全滅した事が判明し、艦橋要員は自然にラインハルトの命令に従った。これによってハーメルンIIは危機を脱したが、ベルトラムはラインハルトを拘禁した。

その後、ハーメルンIIが機関部の損傷によって脱出に必要な速度を出す事が難しい事が判明。天体物理学に長けたシュミット一等兵が恒星アルトミュールの表面爆発を利用して加速を得る方法を上申したが、ベルトラムは却下。さらに軍規に乗っ取り「名誉ある自沈」を主張した。水雷長のデューリング中尉は同意出来ず、キルヒアイスを通じてラインハルトの叛乱を促した。キルヒアイスは兵士たちのリーダー格アラヌス・ザイデル伍長を説得して味方につけ、ラインハルトを解放。ラインハルトは艦橋を制圧して指揮権を奪取し、シュミットの案を採用して脱出作戦の立案に入った。が、検討の結果様々なリスクが予測され、士官の中からも不安の声が挙がった。それでもラインハルトは他に選択肢が無いと判断、シュミット案の強行を決断した。

この決定に不安を抱いた通信主任のフレーベル少尉が、ベルトラムと内通して逆叛乱を起こした。だが論争の過程で、平民出でありながら(一応は貴族であるラインハルト以上に)「努力しない平民ども」を蔑視する本音が露呈したベルトラムは孤立、半ば自暴自棄になってラインハルトを射殺しようとしたが、アラヌスの弟ロルフ・ザイデル二等兵が身代わりになって死亡。艦橋は互いに銃を突きつけあう一触即発の状態になった。

が、本来絶対安静だったアデナウアー艦長が医務室から戻ってその場を取り仕切り、ラインハルトが正式に艦長代理に任じられた。ベルトラムはラインハルトの指揮下に入るよう命じられ、苦渋の表情で承知した。作戦は実行に移され、ハーメルンIIはアルトミュールへ自由落下を始めたが、機関部の修理は尚も続いていた。この時、アルトミュールの観測の為に艦橋に就いたシュミットに代わってベルトラムが機関部に赴き、アラヌス達の負の感情に満ちた視線を浴びながら修理を手伝っている。また、途中で作戦に不安を抱いたデューリングが脱出ポッドに乗り込んで脱走を試みるが、ラインハルトが撃墜すると脅して断念させ、辛うじて事無きを得ている。

アルトミュールの表面爆発一時間前に機関部の修理は完了したが、姿勢制御スラスターのひとつが作動不能で、灼熱の船外での二人がかりによる作業でしか修理出来ないと判明した。ザイデルとベルトラムが志願したが、弟を射殺されたザイデルはそれを拒否。しかし他に作業が出来る者がいない為、ベルトラムに決定した。船外作業による修理は成功したが、途中でハーメルンIIに気がついた同盟軍が長距離ミサイルを発射、さらにアルトミュールの表面爆発が始まった。ベルトラムはザイデルを艦の脱出口に投げつけて救ったが、その反動で艦から離れたベルトラムは太陽風にさらされて焼死した。ザイデルを収容したハーメルンIIは作戦通り太陽風を利用した加速で同盟軍の包囲網から離脱に成功、救援を求める通信がメルカッツ艦隊所属の艦船に繋がり、ハーメルンIIはイゼルローン要塞に帰港した。

ラインハルトは艦を指揮して同盟軍の包囲網から離脱し、さらに同盟艦隊がアルトミュール恒星系に存在する事を報告した功績で大尉に昇進し、軍務省への内勤に転属がきまった(アデナウアーは反乱の事実を否定してラインハルトを擁護している)。なお、ベルトラムとロルフ・ザイデルは二階級特進となった。

この戦いで、「机上で兵を駒として『用いる』のと、実際に兵を人として『率いる』のとでは話が全く違う」ことを思い知らされたラインハルトは「まだまだ、学ぶことは多いな」という感慨を述べた。

シャフハウゼン子爵家とヘルクスハイマー伯爵家の決闘 編集

宇宙暦792年/帝国暦483年1月。ハイドロメタル鉱山の利権を狙って、リッテンハイム侯爵の一門に連なるヘルクスハイマー伯爵がシャフハウゼン子爵に決闘を申し込んだ(というより、利権目当てで因縁をつけ喧嘩を吹っかけた)。ただしこれはラインハルトが関わった戦闘の一種であるが、軍事行動では無いので昇進には繋がっていない。なお、このエピソード「決闘者」はアニメ版オリジナルであり、ゴールデンバウム王朝の貴族社会での正式な決闘の描写が興味深い。決闘について詳しくはこちらを参照。

シャフハウゼン子爵の屋敷でアンネローゼと面会したラインハルト(大尉)とキルヒアイス(少尉)は、子爵夫人ドロテーアから、ヘルクスハイマー伯爵に故なく決闘を申し込まれており、しかも伯爵の策謀で練達した代理人を雇う事が出来ない事を知った。残された道は、荒事と縁のない子爵自身が死を覚悟で決闘に望むか、理不尽でも謝罪し、慰謝料としてハイドロメタル鉱山を差し出すかである。ラインハルトはアンネローゼの数少ない友人の危機を看過できず代理人に立候補し、居合わせたヴェストパーレ男爵夫人マグダレーナが乗り気になって話を進め、代理人に決定した。火薬式銃の扱いに慣れていない為、当初、ラインハルトの練習は成果が上がらなかったが、その練習の音を聞きつけて射撃場に現われたルッツ(少佐)が、火薬式銃の撃ち方を指導し、ラインハルトはようやくコツをつかんで決闘に望むことが出来た。またこの時ルッツが左腕を使って右腕を固定する様アドバイスした事が、後に効果を上げる事になる。

その一方で、決闘の事を知ったベーネミュンデ侯爵夫人とグレーザー医師が、これを機にラインハルトを殺害するべく暗殺者(本名不詳・通称黒マントの男)を手配した。暗殺者は当初ラインハルトの決闘相手だったゴルトシュミットに決闘を申し込んで射殺し、代わってラインハルトの決闘相手としてヘルクスハイマーに自分を売り込んだ。ゴルトシュミットを失ったヘルクスハイマーは即座に応じ、代理人を任せた。

決闘の場所はリッテンハイム侯爵家荘園の私設競馬場。最初キルヒアイスは玄人相手の策として身体を移動させる事を進言したが、決闘本来の目的を重視するラインハルトは聞き入れなかった。だが相手の様子が尋常ならざるものと感じたラインハルトは考えを変え、キルヒアイスの進言通り右側に飛んで相手の照準を狂わせ、左腕を撃たれながらも相手の利き腕である右腕を撃ち勝利した。だが黒マントの男は剣による再戦を要求。この執拗さと、ルッツの助言通り左腕を前に突き出していなければ心臓を撃ち抜かれていた事実によって、二人とマグダレーナは相手が本気で殺す気だという事に気がついた。

決闘は剣によって再開されたが、利き腕を怪我しているにも関わらず黒マントの男が一方的に押しまくり、ラインハルトは危機に陥った。だがそこに近衛騎兵が到着し、(おそらくはアンネローゼの願いによる)勅命として決闘の中止と鉱山の利権の折半が言い渡された。ヘルクスハイマーは不満を表明したが、逆らえば謀反になる可能性を示唆され、苦渋の面持ちで引き下がった(そしてリッテンハイム候はヘルクスハイマーの不手際に失望の色を見せた)。一方のシャフハウゼン子爵夫妻とマグダレーナは、利権が半分でも確保出来た事とラインハルトが負傷しながらも生き残った事を喜んだが、剣で負け、さらに皇帝に助けられた結果になったラインハルトは怒りに震えていた。唯一その事に気がついたキルヒアイスはその場を離れる様にラインハルトに促し、ラインハルトも表面上は冷静を保ちながら退去した。

黒マントの男は尚も任の遂行を決め、傷が癒えるのを待っていた。だが、ベーネミュンデ侯爵夫人の短気がそれを許さず、即座に任務を遂行しない場合は抹殺する事をグレーザーに命じた。2月に入り、ラインハルトの傷は癒えたが、アンネローゼの援護と皇帝の力で助けられた事は未だ心の傷となっていた。そこに黒マントの男から再戦の矢文があり、ラインハルトはキルヒアイスには内緒で応じる事に決めたが、キルヒアイスはラインハルトの様子からそれを察していた。なお、この時、ラインハルトが日本の剣術の資料を研究している場面があり、これが後に決闘の場で生きる事になる。

冬の森の雪の中で剣と馬による決闘が開始された。ラインハルトは剣を折られたが、相手の剣を「真剣白刃取り」で奪い、決着を付けた。黒マントの男は自決し、依頼者の名前を漏らさぬまま絶命した。一方、物陰から見ていたキルヒアイスは、ラインハルトに銃を向ける第二の暗殺者(グレーザー医師)を発見して阻止したが、取り押さえる事は出来なかった。

第5次イゼルローン攻防戦 編集

宇宙暦792年/帝国暦483年5月。帝国軍と同盟軍の戦い。外伝「黄金の翼」で描かれている。ラインハルト(少佐)が初めて軍艦(駆逐艦エルムラントII)の艦長として戦いに参加した戦闘であり、キルヒアイス(中尉)も副長として同乗している。また、上司としてレンネンカンプ(大佐)が登場。さらに同盟側には作戦参謀のヤン(少佐)とアッテンボロー(中尉)が参戦している。

戦闘開始は5月6日。同盟軍の兵力は艦艇約50000隻、総司令官はシドニー・シトレ大将。帝国軍はイゼルローン要塞とその駐留艦隊約13000隻。要塞司令官はクライスト大将。駐留艦隊司令官はヴァルテンベルク大将。当初はトール・ハンマーの射程外に於ける艦隊戦で開始されたが、数に勝る同盟軍が圧倒した。ラインハルトのエルムラントIIも、巡航艦を破壊するという戦果を挙げた後に後退している。やがて帝国艦隊全体が要塞に向って後退を始めたが、シトレによる並行追撃作戦によって両軍の艦艇が入り乱れる状態になり、射程内でありながらトール・ハンマーが撃てないという事態が生じた。同盟軍は一気に要塞を攻略しようと攻勢を強めたが、進退窮まったクライストがトール・ハンマーの発射を命令、味方の帝国軍艦艇ごと同盟艦隊を砲撃した。これによって並行追撃作戦は失敗に終わり、同盟艦隊は残存兵力をまとめて撤退した。

なお、これと平行して、帝国軍務省憲兵隊から(実際にはベーネミュンデ侯爵夫人から)派遣されたクルムバッハがラインハルトを暗殺しようとしていたが、キルヒアイスの援護もあって返り討ちにされた。

なお、これだけ兵力差がありながらイゼルローン攻略が失敗した事から、ヤンはイゼルローンを外部から攻略不可能な事を確信した。おそらく総司令官のシトレも同様だったのであろう。後にシトレは、半個艦隊でのイゼルローン攻略を、ヤンに命じる事になる。

ヘーシュリッヒ・エンチェンの同盟領単艦潜入 編集

宇宙暦792年/帝国暦483年12月~翌年1月。巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンによる同盟領への単独潜入とそれに関連した戦闘。

ラインハルト(中佐)が艦長、キルヒアイス(中尉)は保安主任として乗り込んでいた。また、ワーレン(少佐)が副長として乗り込んでおり、作品の中で間接的に登場したミュラー(中尉)やアイゼナッハ(少佐)とともに、ラインハルトの知己を得る機会として描かれている。なお、このエピソードはアニメ版の「外伝・奪還者」がオリジナル。

12月、上官のレンネンカンプ大佐を通じて紹介された統帥本部作戦3課のアーベントロート少将から、ラインハルト及びヘーシュリッヒ・エンチェンに、同盟領への単独潜入と工作が命じられた。その内容は、決闘事件で敵対したヘルクスハイマー伯爵が、軍事機密である指向性ゼッフル粒子発生装置の試作機を携えて同盟に亡命しようとしているので、密かに同盟領に潜入して航路に先回りし、その阻止と装置の奪回或いは船を撃沈せよ、というもの。任務の困難さと機密の保持という特殊な条件を承知の上でラインハルトは命令を受諾した。なお、これに関連して統帥本部から派遣されてきたフォン・ベンドリング少佐が「監察官」と称して乗り込んで来た。

命令を受けた翌日、ヘーシュリッヒ・エンチェンは訓練という名目でイゼルローン要塞を進発、回廊の同盟側出口付近で、既にしらされていたキルヒアイス以外の乗組員に事情が伝えられた。その直後、ラインハルトは同盟の哨戒部隊をおびき寄せて帝国の哨戒部隊と戦わせ、その隙に同盟領への侵入を果たすと、ベンドリングの情報をもとにフェザーン回廊の出入り口まで進み、そこでフェザーンの駐在武官(後にミュラーと判明)からの情報を受けてヘルクスハイマーの船を追跡/拿捕、護衛艦を撃沈した上で、キルヒアイス指揮下の陸戦隊が突入し、白兵戦の末ヘルクスハイマーの船を制圧、さらに船倉で装置を発見した。だが、ヘルクスハイマーの一族は脱出ポッドの事故により死亡、唯一、ヘルクスハイマーの娘であるマルガレーテという10歳の少女だけが生き残った。

指向性ゼッフル粒子発生装置の制御コンピューターには閲覧と実行を禁止するプロテクトがかけられており、通常のゼッフル粒子の発生以外は、指向性の制御もデータの閲覧も装置の移動も不可能だった。キルヒアイスとベンドリングは、プロテクトの解除方法を知っていると思われるマルガレーテからそれを聞き出そうと試みるが、父親のかたきと思い込んでいる相手から協力は得られなかった。仕方なくヘルクスハイマーの船を同行させるが、途中で同盟の追跡部隊と遭遇、ラインハルトは通常型のゼッフル粒子で撃退した。しかしそれによって包囲網は着実に狭まり、当初予定していた航路は完全に封鎖されてしまった。

ラインハルトが脱出方法を模索している間に、キルヒアイスはマルガレーテの心を解きほぐそうとし、ようやく敵対する様子を解いた。だがその時、マルガレーテは亡命の真相に繋がる話をキルヒアイスとベンドリングに告げ、この時のベンドリングの態度にキルヒアイスが疑念を抱いた。一方、フェザーンの駐在武官から新しい航路案と補給計画が示された。この時キルヒアイスがマルガレータとベンドリングの現状をラインハルトに伝えた上で、マルガレーテとの取引を提案した。熟考の末、他に選択肢が無いと結論したラインハルトはマルガレーテと取引し、船と財産の代りにプロテクト解除方法を手に入れた。だが閲覧したデータの中に、ヘルクスハイマーの一族がリッテンハイム侯爵に殺害されそうになった経緯と、その大元になったブラウンシュヴァイク/リッテンハイム両家の娘達の遺伝病の事が書かれていた。ベンドリングはこのデータの奪取或いは消去を真の目的として同行していたが、その内容と貴族の身勝手さにショックを受け、任務の放棄とマルガレーテの保護者として一緒に亡命する旨をラインハルトに告げた。相手の態度にある程度の納得を感じたラインハルトは、これを許可し、装置を移設した後のヘルクスハイマーの船を解放、マルガレーテ/ベンドリングと別れてイゼルローン回廊に向った。

回廊付近で待ち伏せしていた同盟の部隊中央部を指向性ゼッフル粒子で撃破したヘーシュリッヒ・エンチェンは、回廊内への突入を果たしたが、その時点でエネルギーが尽きた。慣性航行を続けながら機雷で相手の追撃を振り切ろうとしていたところに、ようやく帝国の補給艦が来援した。だが護衛艦無しであり、現状での補給は不可能に近かった。ところが補給艦は物資を空中に放出してヘーシュリッヒ・エンチェンに受け取らせるという補給方法を提案した。奇抜だが理に適っていると判断したラインハルトはその方法を受諾、物資の回収に成功し、同盟の追跡部隊を振り切った。なお、この時にワーレンが、補給艦の艦長が「沈黙艦長」と異名をとるアイゼナッハ(少佐)であるとラインハルトに告げている。イゼルローン要塞に帰還したラインハルトはすぐにアーベントロート少将の元に出頭し、任務の報告とともに、任務に無い裏の事情を知っている事を告げ、沈黙する事を引き換えに自身とキルヒアイスの昇進を約束させた。

なお、この任務は極秘任務であるため、戦歴に残らず、昇進も、理由付けのため17歳の誕生日を待っての事となる。また、指向性ゼッフル粒子を始めて実戦投入したのはこのときだが、公式記録では3年後のアムリッツア会戦となっている。

アルレスハイム星域の会戦 編集

宇宙暦792年/帝国暦483年、帝国軍と同盟軍の戦い。なお、この戦闘及び後日談を描いた「汚名」の原作小説は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

帝国軍カイザーリンク中将の艦隊がアルレスハイム星域で同盟軍に奇襲をかけようとしたが、帝国軍艦隊の一部が命令を待たずにタイミングを考慮しない形で攻撃を開始してしまった為、数で劣る帝国軍艦隊は同盟軍艦隊の反撃に遭い、6割の損傷を出して敗走、カイザーリンク中将は少将に降格された上退役処分となった。

ただしこの戦闘には後日談があり、キルヒアイスが探偵の役割でこの出来事に関わっている

ヴァンフリート星域の会戦 編集

宇宙暦794年/帝国暦485年3月21日~ラインハルトがグリンメルスハウゼン艦隊所属の准将キルヒアイス大尉として参加。艦隊戦は個々の分艦隊がバラバラに行動して相手の後背を狙って渦を巻くように移動した為に膠着し、グリンメルスハウゼン艦隊は衛星ヴァンフリート4=2に向った。その後の地上戦が契機に同盟軍第5艦隊を中心に帝国軍本隊との艦隊戦が展開されたが、今度は狭い空間に大軍がひしめき合って身動きが取れなくなってしまい、互いに大きな戦果を挙げることができないまま、4月末まで戦闘が「だらだら」と続いた。

衛星ヴァンフリート4=2の戦い 編集

宇宙暦794年/帝国暦485年4月6日~。グリンメルスハウゼン艦隊所属の陸戦隊将官リューネブルク准将が指揮する帝国軍陸戦隊と、衛星ヴァンフリート4=2に建設された同盟軍後方基地守備隊との戦い。

元々はミュッケンベルガーがグリンメルスハウゼン艦隊を厄介払いするためにヴァンフリート4=2に後方基地設営を命じたのだが、既に同盟軍が駐屯しており、戦闘に至った。

守備隊の1部隊としてローゼンリッターが所属しており、死亡したヴァーンシャッフェ大佐連隊長)の代理を務めるワルター・フォン・シェーンコップがローゼンリッターの指揮を執った。その途中でキルヒアイスとリューネブルクにそれぞれ遭遇し白兵戦を戦っているが、どちらも勝負がつく前に現場を離れている。

ラインハルト(とキルヒアイス)が、同盟後方部隊の司令官であるセレブレッゼ中将捕虜にした。この功績でラインハルトは少将に昇進。

第6次イゼルローン攻防戦 編集

宇宙暦794年/帝国暦485年10月~12月10日。ラインハルト・ミューゼルが少将として参加、2千数百隻の分艦隊を指揮した。所属した母艦隊は不明。

ラインハルトに限らず、この戦いでは一個艦隊司令以上の上級指揮官よりも、それよりも下位の指揮官の活躍が目立った戦いであった。ミューゼル分艦隊は前哨戦で数々の戦果を挙げ、同盟軍を悩ませた。学生時代ヤンに敗れた秀才ワイドボーンもこの時ラインハルトの奇襲で戦死している。同盟軍のグリーンヒル大将は作戦参謀ヤン・ウェンリー大佐に対策を命じ、ヤン発案による時間差の包囲作戦が実行された。ラインハルトは危機に直面したが、同盟軍が戦力の出し惜しみをしたため助かった。要塞攻防戦本番では同盟軍のホーランド少将がミサイル艦の集中投入による奇襲作戦を実行して帝国軍は一時混乱したが、作戦を看破していたラインハルトはホーランド分艦隊を撃退し、戦闘は混戦へと移行した。混戦の打開を図ったラインハルトは積極的な献策によってミュッケンベルガーの了解を得て、自らの艦隊を囮としてトール・ハンマーを使える様同盟軍を要塞から引き離すことに成功し、要塞砲に撫でられた同盟軍は敗走した。ラインハルトはこの功績によって中将に昇進する。ヤンはラインハルトの意図を見抜いていたが、性格上ラインハルトのような積極行動は取れず、同盟の敗退を傍観することしか出来なかった。圧倒的戦力差があった第5次と比較して、今回は帝国・同盟の艦隊はほぼ同数であり、その割に同盟は健闘したと言えるが、それは戦略面で何ら意味の無い事であった。

第3次ティアマト会戦 編集

宇宙暦795年/帝国暦486年2月。ラインハルトが中将として参加。そもそもこの会戦は皇帝フリードリヒ4世の在位30周年に花を添えるためというだけの理由での出征が発端であり、当然宇宙艦隊司令長官のミュッケンベルガーは消極的であった。しかし、そこまでは読めないラインハルトは、ミュッケンベルガーの消極姿勢に反発し、苛立っていた。

会戦は序盤、同盟軍のホーランド中将率いる第11艦隊が先任のビュコック中将の制止を無視して孤軍突出、帝国軍をかき乱した(ホーランドもまた、増援待ちのビュコックの消極姿勢に反発し、苛立っていた)。しかし第11艦隊は後先考えない空回りの果てに攻勢終末点に到達、敵中に立ち往生してしまう。それを読んでいたラインハルトはすかさず全艦の主砲を三連斉射、わずか一撃で第11艦隊を蹴散らし、ホーランドを戦死させる。ラインハルトはこの功績によって大将に昇進。また帰還後に新造戦艦ブリュンヒルトを下賜される。

アニメ版では、この戦いが全シリーズの最終エピソードとして制作された。アニメ版は第一作「わが征くは星の大海(アニメ版オリジナル)」で、ブリュンヒルトに座乗したラインハルトが戦場(レグニツァの戦い・第4次ティアマト会戦)に到着するシーンから始まっており、ラインハルトがこの戦いでブリュンヒルトを得て、乗り込んでいくシーンがラストシーンであった。

グランド・カナル事件 編集

宇宙暦795年/帝国暦486年初頭第3次ティアマト会戦が開始される直前に起こった戦闘。

同会戦の準備の為イゼルローン回廊の同盟側外縁に同盟軍が展開を開始したが、人為的ミスから物資輸送が滞り、対応しきれない軍に代って民間船約100隻が物資を運ぶ事になった。だが、当時の宇宙艦隊司令長官だったロボスが不明確な形で戦力の保護を命じた為、これに過剰に反応した護衛部隊が、巡航艦「グランド・カナル」を除いて途中で引き返してしまい、そこで哨戒行動をとっていた帝国軍の巡航艦2隻と遭遇、戦闘が開始された。1対2で勝算の無いグランド・カナルは撃沈されるひきかえに奮闘して民間船を脱出させる事に成功し、同盟軍は自らの不手際を隠す意味もあって艦長のフェーガン少佐を初め戦死者全員を英雄として祭り上げた。なお、その意図を覆す様なコメントがヤンから発せられたが、マス・メディアには載らなかった。

クロプシュトック事件 (原作時系列) 編集

帝国暦486年3月、ブラウンシュヴァイク公爵の私邸に於ける門閥貴族の親睦パーティーで発生したクロプシュトック侯爵による爆破テロ事件と、それに続く討伐の総称。

このパーティーにはラインハルトも招待されていたが、パーティーのさ中に男爵夫人の一人が貧血を起こして倒れ、従者達によって椅子に座らされ、その椅子に置かれていた黒いケースが会場の外に運び出されようとした瞬間爆発を起こした。当初の場所から移動させられていた為、ラインハルトやブラウンシュヴァイク公爵など、会場内にいた者の多くが命拾いした。

かつてブラウンシュヴァイク公オットーと政争を繰り広げたクロプシュトック侯ウィルヘルムが犯人であると判明した為、激怒したブラウンシュヴァイクは自ら司令官となって艦隊を率い、クロプシュトックの領土である惑星に赴いた。だがブラウンシュヴァイク及び配下の指揮官が全て戦闘経験の無い貴族であったため、補佐役として「戦闘技術顧問」という肩書きの実戦指揮官が同行し、アドバイスを行う事になった。この戦闘技術顧問の中にウォルフガング・ミッターマイヤーオスカー・フォン・ロイエンタール(ともに少将)がいた。

クロプシュトックは私兵を揃えて迎撃態勢を取っていたが、指揮官の能力とは別に兵力差から勝敗が決し、クロプシュトック領は戦闘開始後一週間で討伐艦隊に制圧された。ちなみに、ミッターマイヤーはこの時、自分に指揮を任せれば3時間で決着をつけられると言っているが、実際には彼に指揮権は無く、様々なアドバイスも無視或いは却下され続けていた。これに代表される彼の不満が、後に激発する事になる。

ミッターマイヤー暗殺未遂事件 編集

上記のクロプシュトック事件(原作時系列)に関連して発生した出来事。ミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトの陣営に加わる経緯となった。

制圧後のクロプシュトック領が、貴族達による略奪と虐殺の場に変貌するのを防ぐため、ミッターマイヤーは腐心していたが、数人の青年貴族が起こした老婆に対する凌辱と略奪・殺害の現場を見るに至り、その主犯各の男を銃殺した。軍規に基づいた行動だったが、その主犯の男がブラウンシュヴァイクの縁者であり、しかもミッターマイヤーはそれを承知の上で銃殺した。メンツを潰されたブラウンシュヴァイクはこれに激怒しミッターマイヤーを逮捕したが、正当な理由が無いため処罰出来ずにいた。軍法会議でミッターマイヤーの潔白が証明される前に暗殺される危険を感じたロイエンタールは、面識こそ無いが明らかに門閥貴族と反目している(とロイエンタールには思えた)ラインハルトを訪ね、ミッターマイヤーの救出を嘆願した。いくばくかの質問の後、ロイエンタールの嘆願が罠では無いと確信したラインハルトは、ロイエンタール及びキルヒアイスとともに軍刑務所に乗り込み、ミッターマイヤーを殺そうとしていたフレーゲルと相対した。一触即発の状態となったが、後から登場したアンスバッハの機転でその場は収まり、フレーゲルは不満たらたらの体ながら撤収した。命を救われたミッターマイヤーは、ロイエンタールともどもラインハルトに忠誠を誓った。

5月9日、ミッターマイヤーは起訴猶予で釈放され、ロイエンタールとともにラインハルトの艦隊に配属されたが、その最初の戦いである惑星レグニッツァ上空の戦いで、コルプト子爵(ミッターマイヤーが銃殺した男の兄)に命を狙われる事になる。

アニメ版では両事件は分離され、クロプシュトック候事件にミッターマイヤー・ロイエンタールは関与していない(詳細はこちら)。

グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ暗殺未遂事件 (原作時系列) 編集

帝国暦486年5月16日、ベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナが皇帝から愛人としての立場を解かれ、意を受けたリヒテンラーデ侯によって後宮からの退出を命じられた。皇帝に見捨てられた事にショックを受けたシュザンナは、その原因と責任がアンネローゼにあると結論した。

翌17日、ピアノ演奏コンクールから帰るアンネローゼ一行(ラインハルトとキルヒアイスを含む)を襲撃させた。だが警戒を怠らなかったラインハルトとキルヒアイス、及び救援に駆けつけたミッターマイヤーとロイエンタールによって襲撃犯は撃退/拘束され、シュザンナから頼まれた事を白状した。

アニメ版ではシュザンナ自らが襲撃に参加、アンネローゼに刃を向けるが、オーベルシュタインの機転によって撃退されている(後述)。

翌日、グリューネワルト伯爵夫人が暗殺されたという虚報を聞かされて歓喜したシュザンナは、皇帝からの呼び出しという不自然な通告にも疑問を抱かず、意気揚々と出かけた。だが、そこはノイエ・サンスーシではなく典礼尚書であるアイゼンフート伯爵の邸宅であった。全てを悟ったシュザンナは狂乱と悪態の限りを尽くした後、毒入りの酒を無理やり飲まされ、死に至った。

惑星レグニッツァ上空の戦い 編集

宇宙暦795年/帝国暦486年9月4日。帝国軍ラインハルト艦隊と同盟軍第2艦隊の戦い。第4次ティアマト会戦の前哨戦に位置されている戦い。ラインハルトがミッターマイヤー/ロイエンタールを配下として戦った最初の戦いであり、戦艦ブリュンヒルトが実戦に登場した初めての戦いでもある。

木星型惑星レグニッツァの大気圏内において、双方全く予期しない嵐の中の遭遇戦という形で砲撃戦が開始され、当初は第2艦隊が優勢だった。しかし、ラインハルトは惑星レグニッツァの水素ヘリウムの大気に核融合ミサイルを一発撃ち込んで大規模な核融合反応による爆発を起こして第2艦隊を誘爆させ、わずかミサイル一発で同盟軍を敗走に追い込んだ(後年、アムリッツァ星域会戦でヤンはそのお返しに恒星アムリッツァに核融合ミサイルを撃ち込み恒星の核融合反応を増大させ、それにより増大した太陽風を追い風にしてミッターマイヤー艦隊に急接近して、損害を与えた)。

原作では「戦術レベルの判断力は劣悪ではない」パエッタが自ら撤退を決断しているが、劇場版ではヤンがラインハルトの「火計」を読み、その指示を受けたアッテンボローが、旗艦パトロクロスの舵を勝手に動かして艦を離脱させ、パトロクロスとそれに追随した少数の艦を救っている。そして、パエッタは呆然と撤退を呟くだけだった(外伝一巻のパエッタは、本編第一巻より有能で硬派に「リメイク」されているが、劇場版では逆に本編第一巻より無能で卑屈に「リメイク」されている)。

なお、原作小説では、この戦いの時、戦艦アルトマルクの艦長であるコルプト子爵が、戦乱に乗じてミッターマイヤーの乗艦に砲撃したが、撃砕はならず、逆に反撃されて艦もろとも四散している。

第4次ティアマト会戦 編集

宇宙暦795年/帝国暦486年9月11日。ラインハルトが大将/左翼部隊の司令官として参加。ラインハルト率いるミューゼル(この戦いの後に断絶していたローエングラム伯爵家の名跡を継ぐ。)艦隊の戦力は、惑星レグニッツァ上空の戦いでほぼ損害が生じていないとされているので、12,200隻、将兵130万人ほどの規模を保っていた事になる。

ラインハルトは、ミュッケンベルガーの策謀によって単独で突出させられ、危うくおとりにされるところを、「右に転進して敵の眼前を横断する」という巧みで大胆(ラインハルト曰く「邪道」)な艦隊運用によって危機を脱出した。ヤンを除く誰もが呆然と見守る中、ラインハルトが通り過ぎてしまうと、両軍は衝突せんばかりの至近距離で対峙してしまっていた。そのまま芸のない正面からの乱戦にもつれこんだ味方を尻目に、ラインハルトは敵右翼側面まで回りこんで同盟軍を半包囲し、期を見て突入。逆に本隊をおとりにして功績を挙げた。

同盟軍は大損害を受けて敗退したが、帝国軍本隊もまた同盟軍に勝るとも劣らぬ損害を受けて撤退した。結局この戦いもまたなんらの戦略的意義もなく、ただラインハルトたちの株を上げ、ゴールデンバウム王朝の終わりを早めただけに終わった。

尚、劇場版アニメ第1作では、ヤンユリシーズで単艦敵陣に侵入、ブリュンヒルトの下方に密着して人質とし、同盟軍本隊の脱出を成功させるという演出が盛り込まれた。したがってアニメ版では、この戦いで二人が互いの存在を知った事になっている。

クロイツナハIIIの麻薬密売組織捜査 編集

宇宙暦795年/帝国暦486年11月アルレスハイム星域の会戦の後日談。この原作小説である「汚名」は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。アニメは外伝シリーズの中でも比較的早い時期に制作されている。

第4次ティアマト会戦アスターテ会戦の間に、ラインハルトとキルヒアイスは休暇をとる事が出来た。ローエングラム家の家督相続の為の手続きが必要なラインハルトの勧めで、キルヒアイスは先にクロイツナハIIIに赴いたが、滞在先のホテルで老人を襲おうとする暴漢と遭遇し、これを撃退した。老人がカイザーリング退役少将だと知ったキルヒアイスは、伝えられる様な暗愚さが相手に無い事を不思議に感じる。

その一方で、暴漢が正気を無くしている事に気がついたが、事情聴取の為赴いた現地警察のホフマン警視から、暴漢が現役の軍人でサイオキシン麻薬中毒であると説明され得心が行った。だがサイオキシン麻薬の取引があるという密告があったのでその捜査に協力しろという申し出には納得が行かずに断ろうとしたものの、警察と軍隊との軋轢の存在を訴えられ、さらに麻薬中毒患者から生まれた新生児の写真を見せられ、憤激にかられたキルヒアイスは協力の申し出を受諾した。

カイザーリングから招待された夕食の席で、キルヒアイスはバーゼル中将夫妻の話を聞かされ、バーゼルの妻ヨハンナの立体写真を見せられた。老人だが美しいと感じられるヨハンナに対するカイザーリングの気持ちと明哲な姿勢を知ったキルヒアイスは、なおさらアルレスハイム星域の会戦の敗北の理由が分からなくなった。店を出た帰り道、ホフマンの出迎えを受けたキルヒアイスは、麻薬中毒の暴漢がかつてカイザーリング艦隊所属の兵士だった事を聞かされた。その夜、キルヒアイスが暗殺されかかり、カイザーリングへの疑惑は一層増したが、その一方でバーゼル夫妻が予定より早くクロイツナハIIIに到着している事を知り、それがカイザーリングに伝わっていない事にキルヒアイスは不審を感じる。翌朝、カイザーリングの紹介でバーゼル退役中将と会ったキルヒアイスは、その人間性にやや不信を感じて到着日時の虚偽を改めて確認し、疑っている事を敢えてバーセルに気づかせた。その後、キルヒアイスは展望レストランで様子がおかしい男を見つけて尾行し、逆にフライングボールの競技場に誘い込まれてナイフを持った男達に襲われた。キルヒアイスは低重力のフィールドで苦心しながらも反撃し、さらにその様子を外部にさらして警察を呼び寄せ自らを救った。

その直後、ホフマンから、バーゼルがアルレスハイム星域の会戦の時にカイザーリングの下で補給を担当しており、最初にカイザーリングを襲った麻薬中毒の暴漢がその補給部隊の兵士で、しかもバーゼル自身が会戦の直前に憲兵隊から麻薬不法所持の件で取調べを受け、カイザーリングの証言で無罪になっていた事を聞いたキルヒアイスはアルレスハイム星域の会戦の真相に気がつき、その証拠を得る決意でカイザーリングを訪ねて証言を促したが、ヨハンナに対するカイザーリングの想いがそれを拒んだ。アンネローゼに対する自分の想いと重ね合わせたキルヒアイスは、それ以上は何も言えなかった。

ホフマンの手引きでヨハンナと面会したキルヒアイスは、密告したのがヨハンナで、しかも匿名でバーゼルにも忠告し、それが逆効果となってバーゼルはカイザーリングが自分を裏切ったと考えて命を狙った、という構図を聞かされた。ヨハンナにも証言を断られたキルヒアイスとホフマンは、最後の手段としてバーゼルが自白する様にしむけた。それにひっかかったバーゼルはキルヒアイスを買収しようと試み、それが失敗するとキルヒアイスを殺そうとした。だがそれがすべてホフマンによって録音されており、バーゼルは諦めた様子でヨハンナに事情を伝えたいと電話を入れた。それが証拠隠滅を命じたものだと気がついたキルヒアイスは、ヨハンナの部屋に駆けつけた。ヨハンナはバーゼルの意に逆らわず資料を暖炉で燃やそうとしており、キルヒアイスの説得にも耳を貸さなかった。ヨハンナを撃たなければ証拠が燃やされる場面でキルヒアイスは撃てなかったが、後方から現われたカイザーリングがヨハンナを撃った。自分を撃ったのがカイザーリングだと気づいたヨハンナは微笑みながら死んでいった。事件は解決したが、キルヒアイス自身は考えるべき問題が幾つか提起されたと考えている様子が描かれている。

旧帝国暦/宇宙暦時代 (本編開始後) 編集

アスターテ会戦 編集

宇宙暦796年/帝国暦487年2月。ラインハルトが上級大将に昇進し、同時にローエングラム伯爵家の名跡を継いで初めての出征。また原作およびOVAの最初のエピソードである。

劇場版アニメ(第2作)においてかなり掘り下げて描写されている。そこでは、ラインハルトの実力を試すという帝国軍上層部の思惑(及びブラウンシュヴァイク公爵の策謀)によって幕僚のミッターマイヤーロイエンタール、参謀長のメックリンガー、ブリュンヒルト艦長のシュタインメッツが転属させられ、残されたのはキルヒアイスだけであった。したがってこの出征におけるラインハルトの幕僚は「融通の利かない」メルカッツ、「扱いづらい」ファーレンハイト、「実戦には向かん」シュターデン、「足手まといにしかならん」エルラッハにフォーゲルとなり、「手足を縛られた上に、重石までつけられた」状態であった(評は劇場版第二作のミッターマイヤーロイエンタール)。兵力は艦艇約2万隻。さらに念には念を入れようとしたフレーゲル男爵によって、出征の情報がフェザーンのルビンスキーを通じて同盟にリークされていた。
一方同盟側では、情報を得たトリューニヒトの命により、ヤンの所属する第2艦隊(アニメ版ではアッテンボローも所属している)、フィッシャーの所属する第4艦隊、そしてジャン・ロベール・ラップの所属する第6艦隊の、あわせて3個艦隊(合計4万隻)が動員された。
なお、道原かつみのコミック版では、原作やアニメ版と異なり「双璧」ミッターマイヤーとロイエンタールの両者ともラインハルト指揮下で参加している(コミックス新書版第1巻P148を参照)。彼らはラインハルトが忠誠を尽くすに足るかをこの戦いで見定め、ラインハルトもまた彼らの戦闘指揮をこの戦いで評価する事となる(同P167。また、同作ではP236-237等で第4次ティアマト会戦のエピソードを混入しており、その描画方法からラインハルト指揮下での両者のデビュー戦と読む事が可能。第四次ティアマト会戦自体はP144で描かれているが、それに両者が参戦しているかどうかは描かれていない)。なお、二人が参戦したために提督の顔ぶれはメルカッツ・シュターデン・ファーレンハイト・ミッターマイヤー・ロイエンタールという布陣になっている(ただしエルラッハ少将もP230で登場している)。

同盟軍はこの数と地の利を使ってダゴン星域会戦と同じ包囲殲滅戦を企図したが、逆にラインハルトの各個撃破の好餌となった。当初はラインハルトの幕僚たちはラインハルトの作戦を理解出来なかったが、唯一作戦に好意的印象を持ったとキルヒアイスに印象づけたファーレンハイトが先鋒となり、正面から接近していたパストーレの第4艦隊約12,000隻を最初に攻撃、先制攻撃で優位に立った。

この時点で第2艦隊の次席幕僚を務めていたヤンは、第6艦隊と合流して戦力の集中を図るべきとパエッタに進言したが、それが第4艦隊を見殺しにするという前提で成り立っている作戦である為パエッタは進言を却下し、(間に合うはずもない)第4艦隊の救援に向った。これによってラインハルトの勝利がほぼ確定した。

戦闘開始4時間で第4艦隊は殲滅され、対するラインハルトの艦隊はほとんど損害が生じなかった。約4時間後、時計回りに迂回したラインハルトの艦隊は、今度はメルカッツの艦隊を先鋒にして、第6艦隊の側背(4時半の方向)から攻撃を開始した。第6艦隊司令官のムーアは、この場合最もやってはいけないといわれる反転迎撃を企図し、全艦がその場で回頭。その結果、全艦が無防備な側面をさらけ出した状態で砲撃を受けて第6艦隊は壊滅した。ムーアは降伏勧告を拒絶して乗艦のペルガモン及びジャン・ロベール・ラップとともに戦死した。

第4/第6の2艦隊を全滅させたラインハルト艦隊は、そのまま第2艦隊との戦いに臨んだ。そして戦闘開始直後に側背から奇襲されたパトロクロスの艦橋が被弾し、パエッタは重傷を負った。その為、健在な士官で最高位のヤンに指揮権が受け渡された。ヤンはこの各個撃破で不利になっている事態を見越しており、あらかじめ作戦を入力しておいたコンピュータ回路を開かせるという方法でその対応策を全艦に秘密裏に通達した。この時ヤンが使った引き分けに持ち込む作戦が功を奏し、ラインハルトはキルヒアイスと相談の上、消耗戦に引きずり込まれた以上、この上の戦闘が無意味であると結論し撤退した。帝国軍の戦死者は約20万人、同盟軍の戦死者は約200万人(OVA版では帝国軍15万人、同盟軍は150万人)に達した。

第7次イゼルローン攻防戦 編集

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。同盟第13艦隊の司令官となったヤンの初の任務として命じられたイゼルローン要塞の攻略戦。

偽の救難信号によって駐留艦隊を要塞から引き離し、その隙に拿捕した帝国軍の艦船を使って要塞内部にローゼンリッターを送り込み、内部から制圧した。味方に一人の犠牲も出さずにイゼルローンを陥落させた為「ミラクル・ヤン」「魔術師ヤン」と称されるに至った。要塞司令官であったシュトックハウゼン大将は捕虜となり、(漫画版ではヤンと対面したシュトックハウゼンは、あまりにも「軍人らしくない」ヤンに自分が敗北した事に愕然とする描写がある。)駐留艦隊司令官ゼークト大将は幕僚であるオーベルシュタイン大佐の意見を聞き入れずに特攻、同盟の手に落ちた要塞主砲・トール・ハンマーで乗艦もろとも戦死した。オーベルシュタインはその寸前に単身シャトルで脱出している。

この歴史的敗北は帝国を揺るがし、国事に無関心な皇帝フリードリヒ四世さえもが下問してきたほどである。帝国軍三長官はそろって辞表を提出し、合わせてゼークト司令部唯一の生還者であるオーベルシュタインに詰め腹を切らせようとした。しかし、オーベルシュタインはこの危機を逆用して、ラインハルトに自らを売り込んだ。ラインハルトは皇帝に提示された三長官いずれかの地位を辞退し、彼ら全員の留任と引き換えにオーベルシュタインの助命を取り付けたが、数年を経ずして結局三長官全て(さらに帝国宰相をも)を兼任することになる。

ちなみにヤンのイゼルローン奪取作戦はオーベルシュタインに見破られており、シュトックハウゼン大将・ゼークト大将が彼の意見を採用していれば、この作戦は失敗した可能性大であった。またローゼンリッターの連隊長シェーンコップ大佐が裏切っていても失敗していたであろう(ローゼンリッターの連隊長の半数は、過去に同盟を裏切っている)。シェーンコップの裏切りの可能性について示唆されていたが、ヤンは何ら対応策を立てておらず、ヤン自身にとってもこの作戦は「成功すれば幸運。失敗して当然」のものであった。
この作戦の鮮やか過ぎる成功が、後の自由惑星同盟軍による帝国領侵攻という無謀な作戦につながり、ひいては同盟滅亡の原因となり、ヤンはむしろこの作戦の成功を悔やむ事になる。

カストロプ動乱 編集

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。財務尚書だった故・カストロプオイゲンの不正蓄財に対する調査と返還を、後継者である息子のマクシミリアンが拒否し、武力抵抗に及んだ。帝国はシュムーデ提督(及び艦隊)を討伐軍として派遣したが敗北(原作小説では2度目の敗北が存在する)。ラインハルトの工作によってキルヒアイスが次に派遣された。

キルヒアイスは軍事的に勝利。マクシミリアンは自分の部下に殺害され、討伐作戦は成功した。この功績によってキルヒアイスは中将に昇進し、実質的にローエングラム陣営のNo.2となった。この戦いで、マクシミリアンによって監禁されていたマリーンドルフフランツがキルヒアイスによって救い出された。また、アニメではこの時ヒルダがキルヒアイスと会った事になっている。なお、カストロプ動乱は、原作/アニメ/コミックで経過が異なっている。

原作
通常の艦隊に対し通常の艦隊運用でキルヒアイスが勝利した。
OVA版
カストロプ領にはフェザーンから闇取引した「アルテミスの首飾り」と同じものが配備され、シュムーデ艦隊を鎧袖一触で壊滅させた。キルヒアイスは指向性ゼッフル粒子を使ってこれを無血にて破壊している。なお、兵卒(クルト伍長)の台詞で「指向性」であることを説明しているため、この発言が正しければ、原作と異なりこの動乱鎮圧が指向性ゼッフル粒子のデビュー戦となる。ただしアニメ外伝「奪還者」の最後のシーンで「公式記録上ではアムリッツァ会戦で初めて指向性ゼッフル粒子が使用された」という説明がなされているので、アニメ版内に限っても矛盾が存在している。これについて制作側のコメントは無い。
コミック版
マクシミリアンの妹エリザベートが率いる私設艦隊5,000隻と、それを惑星上から砲撃支援するマクシミリアンの反射衛星砲という強力な防衛網を敷くカストロプ陣営に対し、キルヒアイスは小惑星で攻撃をしかける。カストロプ陣営はミサイルによる軌道操作で対抗するが、相次ぐ小惑星攻撃に業をにやし、私設艦隊を出撃させた。
だがエリザベートの艦隊が小惑星とすれ違ったとき、キルヒアイスの真の狙いが明らかになる。小惑星に隠れた小型艇部隊が艦隊をかすめて地表に降下、ビーム砲を破壊する一方、別の小惑星が突如破裂。破片によって陣形を乱された隙をキルヒアイス艦隊が急襲・殲滅する。防衛網を悉く突き崩されたカストロプ軍はここに壊滅した。

クロプシュトック事件(アニメ版時系列) 編集

同事件のアニメ版。原作ではアスターテ会戦前に起こっているとされる事件だが、OVA第1期に組み込む為、発生時期や各設定を変更して、本編第9話「クロプシュトック事件」として発表された。

全体的な構造は原作版に近いが、以下の様な差異が存在する。

  • 発生時期は原作では帝国暦486年3月、アニメ版では同487年の半ば
  • 原作では男爵夫人の一人が貧血を起こして倒れたのを椅子に座せたのは従者だが、アニメ版ではラインハルト。
  • 爆弾が仕掛けられていたのは原作では黒いケース。アニメ版では杖。
  • 爆発後、ラインハルトに職務質問した警備担当は、原作ではメックリンガー、アニメ版ではシュトライト。
  • テロが失敗に終わった後、クロプシュトックは原作では領地の惑星に逃げ込み、ブラウンシュヴァイク率いる討伐艦隊を迎撃したが、アニメ版ではオーディンの屋敷に火をつけ自殺した。従ってミッターマイヤーが討伐艦隊のオブザーバーとして同行し、そこでブラウンシュヴァイクの縁者を銃殺する一件はアニメ版には存在せず、OVA第87話で描かれた軍刑務所の拘禁/暗殺未遂のくだりも、この事件の関連によるものとは説明されていない。
  • 討伐を命じられた陸戦隊の指揮官として、この回でフェルナーが登場している。

グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ暗殺未遂事件 (アニメ版時系列) 編集

同事件のアニメ版。原作ではアスターテ会戦前に起こっているとされる事件だが、OVA第1期に組み込む為、発生時期や各設定及び経緯を変更して、本編第11話「女優退場」として発表された。上記のクロプシュトック事件と比較して内容自体が大幅に書き換わっている。

発生時期は原作では帝国暦486年5月、アニメ版では同487年の半ば

フリードリヒ4世がアンネローゼを伴ってオペラ見物をした帰り、ハウスベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナが声をかけたが、皇帝は特に関心を示す様子も無くそのまま退去した。その愚痴をシュザンナから聞いたフレーゲルが話を煽ってアンネローゼ暗殺の意思を啓発させ、フレーゲル自ら手配を行った(ただしフレーゲル自身の名前は出ない形で行う様に、しかもシュザンナに疑惑と責任が集中する様に部下に命じている)。

この直後、アンネローゼ暗殺を示唆する密告を受け取ったラインハルトは、キルヒアイスと相談の上オーベルシュタインに調査を命じたが、同時にシュザンナがアンネローゼを暗殺したがっているという噂が宮廷や貴族社会でも広がり始め、それが原因でシュザンナは皇帝から愛人としての立場を解かれ、意を受けたリヒテンラーデ侯によって後宮からの退出を命じられた。狼狽するシュザンナにフレーゲルが再び近づき、暗殺の決行を促した。

この直後、アンネローゼの元にラインハルトが大怪我をしたという虚報が届き、その報を届けた軍の関係者に同行した。だが、その途中でミッターマイヤーとロイエンタールを乗せた車がすれ違い、ミッターマイヤーが車の中のアンネローゼを発見した。車の様子に不審を抱いた二人はラインハルトにその事を告げようとしたが、ラインハルトはこの時ヤンの第13艦隊に奪取されたイゼルローン要塞の奪回に関する会議で多忙を極めていた為、代わりにキルヒアイスにその事を告げる。キルヒアイスは暗殺の密告と照らし合わせ、緊急事態であると気が付き、ミッターマイヤー及びロイエンタールとともに車の去った方角を探し始めた。

一方、ひと気の無い場所でアンネローゼを乗せた車が襲撃され、アンネローゼは森の中の山荘に連れ込まれた。山荘の中で待ち構えていたシュザンナは、アンネローゼに殺害の意図を告げ、酒に毒を入れて飲ませようとしたが、間一髪で3人が到着した。銃撃戦に勝利して護衛を倒した3人は山荘の中に突入したが、シュザンナがアンネローゼを盾にしていた為うかつに動けなくなってしまった。だが後から到着したオーベルシュタインが山荘の電源を切って照明を落とし、混乱の中でシュザンナと手下はアンネローゼを置いて逃亡した。会議終了後に事態の報告を受けたラインハルトは、しかし証拠が無いため反撃が出来ず、不本意ながらもキルヒアイスの進言を容れて宮廷警察に任せるしかなかった。一方、作戦の失敗を聞いたフレーゲルは、ブラウンシュヴァイクの力を借りてシュザンナに全ての責任をなすりつけた。シュザンナの処置は概ね原作版と同じ。

同盟軍の帝国領侵攻 編集

宇宙暦796年/帝国暦487年8月~。アンドリュー・フォーク准将の案が採用されて実行された作戦。ヤンの第13艦隊を含む8個艦隊が帝国領に侵攻した。

オーベルシュタインが提案した焦土作戦により、当初は抵抗も無く進む事が出来、200の恒星系とそこで暮らす5000万の帝国国民を「解放」したが、まもなく同盟艦隊が補給線の限界点に達し、大規模な補給部隊もキルヒアイスによって壊滅的打撃を受ける。さらに各星域において、帝国軍が大規模な攻勢に転じたため、同盟各艦隊はことごとく惨敗。同盟軍は最後の抵抗としてアムリッツァ星域付近に集結し再反撃を画策したが、最終的に撤退した。この一連の作戦により喪失した将兵は動員した3,000万のうち、実に70%近くに相当する2,000万、これはアスターテ会戦の10倍の損害であり、当時の同盟軍全兵力の約4割をこの作戦により失ったことになる。この敗戦により同盟軍は慢性的な兵力不足に陥り、さらに損耗した将兵を補充した結果社会のあらゆる面において人的資源が枯渇し(作戦以前から社会運営に支障をきたしていたが、そこから更に大幅悪化した)、更に財政も破綻、同盟全体が決定的に弱体化する原因となった。この責任を取って、作戦総司令官のロボスと統合作戦本部長のシトレは引退。総参謀長のグリーンヒルと後方担当のキャゼルヌは左遷。同盟の最高評議会のメンバーも全員辞表を提出したが、出征に反対したジョアン・レヴェロとホアン・ルイ、そしてトリューニヒトは慰留された。一方、侵攻作戦前まで帝国平民の間では同盟軍に対する敵意がそれほどなかったが、この侵攻作戦で同盟軍が苛烈なまでに物資の現地調達を行ったため、帝国平民に同盟軍に対する敵意を植え付けることに帝国は成功した。

なお、このときの同盟軍輸送船団については小説毎にかなりスペックの変動がある。

アムリッツァ前哨戦 編集

同盟各艦隊の侵攻星域と、10月10日に一斉反撃してきた帝国艦隊は以下の通り。

  • 第3艦隊(ルフェーブル)は惑星レージング上空でワーレン艦隊と交戦。アニメ版では戦闘中に乗艦のク・ホリンが隣接した艦と接触し、そのまま付近の衛星と激突して撃沈。ルフェーブルは戦死した。
  • 第5艦隊(ビュコック)はビルロスト星系でロイエンタール艦隊と交戦。最初から撤退の姿勢だった為、3割の犠牲を出しながらも離脱に成功した。
  • 第7艦隊(ホーウッド)はドヴェルグ星系でキルヒアイス艦隊と交戦した。原作では第7艦隊が敗走した事になっているが、アニメでは圧倒的な数の艦隊に包囲され、戦闘描写なく降伏を受諾している(実際には降伏の前段階で戦闘が行われ、脱出も抗戦もままならなくなった状態で降伏を受諾したと推定される)。
  • 第8艦隊(アップルトン)はヴァンステイド星域でメックリンガー艦隊と交戦。早々に撤退しアムリッツァに向ったが、3割の犠牲を出した。
  • 第9艦隊(アル・サレム)はアルヴィース星系でミッターマイヤー艦隊に急襲され、ほとんど反撃も出来ないまま敗走。乗艦のパラミデュースが被弾してアル・サレムが重症を負った為、副司令官のモートン少将が指揮権を引き継ぎ、部隊を統率して敗走した(アニメ版では、同盟軍の兵士が、ミッターマイヤー艦隊の迅速さを疾風に例えている。ミッターマイヤーに関して疾風という言葉が時系列上初めて使用されたのはこの時)。ゲーム(PS)では以降のシナリオは退役になっているので重傷により引退と思われる。
  • 第10艦隊(ウランフ)は、惑星リューゲン上空でビッテンフェルト艦隊と交戦。艦隊の4割が戦闘不能となった段階で脱出作戦に移行。結局半数が撃破され、残りは脱出。ウランフは殿軍として脱出を援護したが、旗艦「盤古」が撃沈され戦死。コミック版では脱出した半数(4200隻)の指揮をアッテンボローが執っており、後にイゼルローン駐留艦隊として再編成されるヤン艦隊の戦力に登用された事になっている。
  • 第12艦隊(ボロディン)はボルソルン星系でルッツ艦隊と交戦。戦力の殆どを失った後、ボロディンはピストル自殺を遂げた。指揮権を引き継いだコナリー少将はルッツ艦隊に降伏する。
  • 第13艦隊(ヤン・ウェンリー)はヤヴァンハール星系でケンプ艦隊と交戦。半月陣形を活用した艦隊運用で優位に立った後、隙をついて撤退し、第7艦隊との合流点であるドヴェルグ星域に向った。この戦いでポプラン、コーネフの同僚であるシェイクリとヒューズが戦死した。さらにドヴェルグ星系ではホーウッドに勝利したキルヒアイス艦隊と交戦したが、撤退命令を受けアムリッツァに向った。連戦と無理な撤退戦にも関わらず、損害は1割程度に収まっている。

アムリッツァ星域会戦 編集

宇宙暦796年/帝国暦487年10月14日

帝国領に侵攻した同盟の8個艦隊の内、司令部が健在だった第5/第8/第13艦隊が恒星アムリッツァに確たる今後の方針もなく集結。対し帝国軍は同盟を圧倒する10万隻余(キルヒアイスらの別動部隊含む)を投入してきた。
第13艦隊が恒星アムリッツァを利用してミッターマイヤー艦隊に速攻をかけ、多少の損害を負わせたものの、直後に戦域に到着したビッテンフェルト艦隊が第8艦隊を撃破した(アップルトンは戦死)。その隙を突いて第13艦隊がビッテンフェルト艦隊のかなりの戦力を削いだが、キルヒアイスワーレンルッツの連合艦隊3万隻が同盟軍の背後に展開されていた機雷源を指向性ゼッフル粒子で除去し、同盟軍の挟撃に成功した(記録上では、この時初めて実戦で指向性ゼッフル粒子が使われた事になっている)。これにより会戦の勝敗は決し、同盟軍の残存戦力は第13艦隊を殿にイゼルローン要塞に撤退し、第13艦隊も戦力が弱体化していたビッテンフェルト艦隊を突き崩し脱出に成功した。
なお、コミック版では、キルヒアイス艦隊は機雷源突破にミニブラックホールを用いている。

リップシュタット戦役 編集

帝国暦488年3月19日~。帝国の門閥貴族が結束してリップシュタットの盟約を結んだリップシュタット貴族連合と、帝国の権勢を手に入れたラインハルトとリヒテンラーデ侯爵(帝国宰相)の枢軸による権力争い(リップシュタットは、貴族連合の盟主であるブラウンシュヴァイク公の別荘が建っている場所であり、ここで盟約の調印式が行われた。アニメ版では調印式の様子をフランス革命直前の球戯場の誓いに類似させた絵で表している。ちなみに球戯場の誓いは貴族の専制に対する平民側の誓いであった)。

貴族連合軍の拠点はガイエスブルク要塞。その他レンテンベルク/ガルミッシュ要塞が貴族連合軍の拠点として利用された。参加した貴族は3,740名。正規軍+私兵の総兵力は2,560万人。盟主はブラウンシュヴァイク公爵。副盟主はリッテンハイム侯爵。参加した主な貴族はフレーゲル、ランズベルク、ヒルデスハイム他。参加した主な貴族系の軍人はメルカッツ、シュターデン、アンスバッハ、オフレッサー、ファーレンハイト他。連合軍の総指揮官はメルカッツが指名されたが、ブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム侯を始め自分勝手な艦隊運用を行うことが多かった。

貴族連合軍に対抗するのはラインハルトの元帥府に登用された提督で、ラインハルト自らが陣頭指揮を執り、ミッターマイヤーロイエンタールケンプミュラーケスラーメックリンガービッテンフェルト、及び参謀のオーベルシュタインが連合軍との直接対決を担当した。辺境を制圧する別働隊はキルヒアイスが指揮を執り、ルッツワーレンが指揮下に入り、後にシュタインメッツが合流した。

3月19日に帝国政府は貴族連合軍の討伐命令を発した。最初の戦闘は4月19日からのアルテナ星域会戦。 8月には貴族連合軍は支配星域の殆どを失い、ヴェスターラントの惨劇によって人心も失った。貴族連合軍は最後の戦いと称して残存戦力を投入したガイエスブルグ要塞攻防戦でも惨敗し、9月にはラインハルト軍によってガイエスブルグ要塞は制圧され、貴族連合盟主のブラウンシュヴァイク公爵は部下のアンスバッハによって強制的に服毒自殺させられた。

9月9日に行われた捕虜の謁見でアンスバッハがラインハルトの暗殺を謀るが、キルヒアイスが身を盾にして防いだ為未遂に終わる。オーベルシュタインの策謀でこの事件の犯人に仕立て上げられたリヒテンラーデが排除されて、ローエングラム独裁体制が確立する。

アルテナ星域会戦 編集

帝国暦488年4月19日~。ミッターマイヤー艦隊14,500隻とシュターデン艦隊16,000隻による、リップシュタット戦役における最初の武力衝突。

ミッターマイヤーが600万個の核融合機雷を敷いて相手の心理的動揺を誘う。3日間機雷源を挟んで対峙したのち、痺れを切らした門閥貴族たちの圧力を前にシュターデンが艦隊を本隊と別働隊の2手に分けて挟み撃ちにしようと動いたが、その動きを読んだミッターマイヤーが先に動いて別働隊8000隻を攻撃。指揮官のヒルデスハイム伯爵を含めて全滅させ、さらに機雷源を時計方向に迂回してシュターデン本隊を背後から急襲。半減した艦隊は背後から襲われて敗北し、負傷したシュターデンはレンテンベルク要塞に逃げ込んだ(アニメ版では胃を患っており、外傷が無いまま吐血で入院した)。

レンテンベルク要塞攻略戦 編集

帝国暦488年4月~。フレイヤ星域のレンテンベルク要塞貴族連合軍)とラインハルト本隊の戦い。

ラインハルトの本隊が周辺宙域の艦隊戦を制圧した後、中心部の核融合炉を奪取する為に第6通路で白兵戦が行われた。守備隊のオフレッサー上級大将(装甲擲弾兵総監)によるアンネローゼを侮辱する発言を聞いて激怒したラインハルトは、制圧を担当したミッターマイヤーロイエンタールに生け捕りを命じる。しかしオフレッサーの化け物じみた抗戦により突入部隊は甚大な損害を強いられる。正攻法を諦めた両者は罠を仕掛かけることで捕獲に成功した。しかしこのまま還せば裏切り者と誤解されるだろうというオーベルシュタインの発案で無事にガイエスブルク要塞に帰還させ、思惑通り銃殺された。ラインハルト嫌いの急先鋒として有名だったオフレッサーが裏切り者とされた事で貴族連合軍内に動揺が生まれた。なお、シュターデンは要塞内の病院で捕虜にされた。

ちなみにこの戦いの時に、オフレッサーがロイエンタールとミッターマイヤーに「お前たちの死体を鍋に放り込んでフリカッセを作ってやる」などと挑発した為、2人は暫くの間フリカッセを食べることが出来なかった。

キフォイザー星域会戦 編集

帝国暦488年7月~。盟主のブラウンシュヴァイク公爵と反目した副盟主のリッテンハイム侯爵が、50,000隻の艦艇を率いてガイエスブルク要塞から去り、辺境制圧を担当していたキルヒアイスとキフォイザー星域で対決した。

相手の艦隊陣形の不備を見抜いたキルヒアイスは、ルッツとワーレンに正面対決を任せ、自分は本隊として高速巡航艦800隻を率いて相手の右側面から突入した。混乱したリッテンハイムはガルミッシュ要塞に撤退(本人は転進と主張)したが、その航路上に自軍の補給部隊がいた。リッテンハイムは躊躇なく攻撃命令を発し、補給部隊を蹴散らして撤退した。

その生き残りであるコンラート・リンザー中尉が貴族連合軍を見限り、要塞に降伏を呼びかける事をキルヒアイスに申し出たが、その前に要塞の司令官室で、リッテンハイムに置き去りにされた敗残兵ラウディッツ中佐ゼッフル粒子による自爆が発生した。これによりリッテンハイムは爆死。キルヒアイスはその隙を突いてガルミッシュ要塞に兵を送り込み、制圧に成功した。

この戦いで、貴族連合軍は副盟主と全兵力の3割(5万隻=3割であるから、貴族側艦隊戦力は総数16万7千隻余ということになる。もしくは先のアルテナ星域会戦での損害が別勘定であるなら総数18万隻余となる)を失った。

ガイエスブルク要塞攻防戦 編集

帝国暦488年8月。敗北の連続及びヴェスターラントの惨劇による民心の遊離によって追い詰められた貴族連合軍が、半ば自暴自棄でラインハルトに艦隊決戦を挑んだ。ファーレンハイトはこの案に反対し出撃を拒否したが、メルカッツは出撃した。アニメ版ではこの時、メルカッツはファーレンハイトに「自分よりまだ若いので生きよ!」と別れを告げたが、後年ファーレンハイトの方が先に戦死することになる(そして皮肉にも、この時の敵軍にはヤン・ウェンリーの傘下に入ったメルカッツがいた)。

貴族連合軍の波状攻撃をラインハルトの陣営が要撃する形で一進一退が続き、貴族連合軍の抵抗力が限界に達した時点でラインハルトが総攻撃を命令。貴族連合軍は圧倒され、勝敗は決した。ほぼ同時に、オーベルシュタインが潜入させておいた工作員ハウプトマン大尉の扇動によってガイエスブルク要塞で反乱が発生、主砲室(ガイエスハーケン)を制圧し、貴族連合軍の多くは降伏か逃亡した。

ファーレンハイトは要塞内で捕虜となったが、後日の謁見でラインハルトに従う事を誓い、ローエングラム陣営に帰順した。 メルカッツは自殺しようとしたが、副官のシュナイダーに制止された。シュナイダーは同盟への亡命を薦め、懐疑的なメルカッツにヤン・ウェンリーを頼る事を提案した。それによってメルカッツは決心し、同盟に亡命した。

対ラインハルト強硬派のフレーゲル男爵は「滅びの美学」に基づいて戦艦の一騎打ちを画策したが相手にされず、最後は自分を見限った参謀のシューマッハを射殺しようとして、逆に周囲の部下に射殺された。シューマッハと部下は戦艦ウィルヘルミナでフェザーンに亡命した。また、後に皇帝誘拐事件を起こすランズベルク伯もフェザーンに亡命した。

リップシュタット戦勝記念式典の悲劇 編集

帝国暦488年9月9日、ガイエスブルク要塞で発生したテロ事件。

この日に至る前に、ヴェスターラント虐殺の黙認を巡ってラインハルトとキルヒアイスが口論の上、双方の精神的関係が変化する程の感情的対立を引き起こした。これに加えて、オーベルシュタインがキルヒアイスへの特別扱いを止める様に進言していた事もあって、以前は特権として認められていたキルヒアイスの銃器携帯許可が取り消しとなり、キルヒアイスは武装解除の状態で式典会場に入った。

捕虜となった高級士官の引見が始まり、ファーレンハイトが正規の帝国軍(ラインハルトの配下)への帰順を表明して提督の列に加わった後、アンスバッハが服毒死したブラウンシュヴァイク公爵の死体と供に入場してきた。提督達は最初嘲笑をもって迎えたが、その死体にはハンド・キャノンが隠されており、アンスバッハはそれを取り出してラインハルトを狙った。だが一瞬早くキルヒアイスが飛び掛り、狙点が狂ったハンド・キャノンはラインハルト後方の壁を爆砕した(アニメ版では、オーベルシュタインがラインハルトの前に立ちはだかり、盾となった様子が描かれている)。

テロに失敗したアンスバッハは、それでもキルヒアイスを振りほどこうとしてもがき、指輪に仕込んだレーザー銃でキルヒアイスの胸部を撃ち抜き、さらに頚動脈を切り裂いた。だが、それでもキルヒアイスはアンスバッハを離そうとせず、他の提督が二人を引き離すまでその状態が続いた。

アンスバッハは自らの失敗を笑いながら歯に仕込んだ毒で自殺し、提督達は後処理に奔走し始めたが、ラインハルトはそれらの一切が耳目に届かない精神状態となり、半ば無意識の様子でキルヒアイスに近づいた。既に視力が失われる状態になりながらも、キルヒアイスは「宇宙を手にお入れ下さい」という、その後のラインハルトにとって神聖不可侵となる誓約の言葉と、アンネローゼへの謝罪の言葉を告げ、そのまま息を引き取った。

惑星オーディン制圧作戦 編集

帝国暦488年9月に発生した、ラインハルトの配下の提督達による帝国首都制圧作戦。

式典から三日経ったにも関わらず、ラインハルトが虚脱状態のままでいる事を懸念した配下の提督達は、何らかの対策を講じる必要性を感じたが、謀略の類が苦手な彼らは効果的な手段を思いつけずにいた。ロイエンタールが意を決し、そもそもの原因であるオーベルシュタインにアドバイスを求める様に提案したが、それを待っていたかの様にオーベルシュタインが現われ、アンネローゼに説得して貰う事と、さらにこの期に乗じて帝国首都を制圧し、かねてから謀略をめぐらしていると情報があったリヒテンラーデをキルヒアイス殺害の主犯に仕立て、排除する事を進言した。提督達は、その策とオーベルシュタイン自身に不快と嫌悪を感じながらも進言を受け入れ、各艦隊から高速艦艇二万隻強を選りすぐって首都星オーディンに向かった。

通常は二十日を要する行程を十四日で踏破したため脱落艦艇が相次ぎ、作戦開始の時点でオーディンに到達出来たのは三千隻程度だった(ただしコミック版によれば、モルト中将以下三万人の守備隊しか首都に残っていないので、制圧の為の戦力は相対的には不足していない)。ミュラーがその内の八百隻で衛星軌道を制圧し、他の艦艇は首都周辺に強行着陸して帝国中枢に向かった。ミッターマイヤーが宰相府で国璽を奪取した一方、ロイエンタールはリヒテンラーデを拘禁した(この事が、後にロイエンタールとエルフリーデ・フォン・コールラウシュとの関係に関わってくる)。なお、この様子を屋敷のバルコニーから眺めていたヒルダは、新しい時代の到来を予感している。

これと前後して、ラインハルトはオーベルシュタインの手配でアンネローゼと超高速通信で会話を交わした。この会話で、少なくとも虚脱状態からは抜け出した様子が描かれている。また、その後のロイエンタールとの通信の内容が、後の叛乱の呼び水となっている様に描かれている。

救国軍事会議のクーデター 編集

宇宙暦797年3月30日~8月。ラインハルトがリップシュタット戦役を始めるのに際して、同盟の介入の防ぐために仕掛けた内乱エルファシルを巡る戦いで捕虜になっていたアーサー・リンチ元少将が工作員となって同盟に逆潜入し、救国軍事会議となるメンバーを集めてクーデターの実行を促した。3月30日にアンドリュー・フォークがクブルスリー大将を襲って重傷を負わせたのを皮切りに同盟内4か所で反乱が起き、さらに4月13日、ハイネセンで演習に偽装した兵力展開が行われ、そのまま決起に至った。

救国軍事会議の議長はドワイト・グリーンヒル大将。スポークスマンはエベンス大佐。主な参加者は情報部のブロンズ中将、第11艦隊司令官のルグランジュ中将など。

しかしヤンが参加を拒否し、さらに救国軍事会議に敵対を表明したため、内乱状態となる。

ヤン艦隊はドーリア星域会戦で第11艦隊を全滅させ、更にハイネセンの防宙システム「アルテミスの首飾り」も撃破し、救国軍事会議を無力化させた。 これに先んじて、ヤン暗殺に失敗して寝返ったバグダッシュが、ヤンの意を受け、このクーデターが帝国の謀略によるものであると放送した。リンチがそれを認めた為、救国軍事会議は大義名分を失った。グリーンヒルは降伏を決意したが、その前にリンチを始末しようとして逆に射殺される。しかしその数秒後にリンチも射殺された。エベンスはリンチと謀略の存在の秘匿を命じた後、通信でヤンに降伏を宣言・自決、クーデターは鎮圧された。

同じ内乱とはいえ帝国側ではラインハルト独裁の新体制で社会が活性化したのに対し、同盟側では帝国領土侵攻作戦失敗の傷を更に深めることとなる。同盟の弱体化は更に進むこととなった。

ドーリア星域会戦 編集

宇宙暦797年5月18日。ルグランジュ中将の第11艦隊とヤン艦隊の戦い。

相手の位置の把握に成功したヤンが先手を取って(原作においては第11艦隊が艦隊を2分した所を見はからって)右側面から艦隊中央部を攻撃し、亀裂が生じた箇所にグエン・バン・ヒューの分艦隊が突入。第11艦隊は2つに分断された(原作では元より2分していたので、さらに4分した事になる)。この分断されたストークスの前方部隊を本隊から引き離す役目は、原作ではフィッシャーが、アニメではアッテンボローが担当する。ルグランジュ艦隊の(原作では4分、アニメでは2分割された)本隊は、数的に優勢なヤン艦隊の大部分に包囲されて集中攻撃を受けた。8時間に渡る消耗戦の末、戦力のほとんどを失ったルグランジュはヤンに最後のメッセージを送った後ピストル自殺。おびき寄せられていた前方部隊も降伏を拒否して全滅した。

ハイネセン進攻 編集

宇宙暦797年8月。惑星ハイネセンで発生したヤン艦隊の進攻。

ヤンが考案した作戦で「アルテミスの首飾り」を破壊して救国軍事会議を無力化し、降伏に至らしめた戦い。

バーラト星系第6惑星シリーュナガレから1立方キロメートル/10億トンの塊を1ダース切り出してバサード・ラム・ジェット・エンジンを装着、光速に近い速度まで加速、相対性理論に添って重量を増した氷塊をアルテミスの首飾りに衝突させ破壊するという戦法が採られた。アルテミスの首飾りを12基全て破壊する戦術的必然性は無かったが、救国軍事会議メンバーの戦意を挫く心理的・政治的効果を狙いヤンは全ての衛星の破壊を命じた。

アルテミスの首飾りを全て破壊したことにより、のちにヤンが反乱を起こそうとしているのではないかと疑われることになる。

イゼルローン回廊帝国側宙域の遭遇戦 編集

宇宙暦798年/帝国暦489年1月。イゼルローン駐留艦隊の内、アッテンボロー少将が率いる2,200隻の分艦隊が、回廊の帝国領方面を哨戒している最中に、ケンプ艦隊の分艦隊であるアイヘンドルフ艦隊1,630~1,790隻(OVA版において艦内放送で告知された推定艦艇数の最小値~最大値)と遭遇し、戦闘状態に突入した。アッテンボローの分艦隊は兵士の多くが補充されたばかりの新兵であり、その中に、軍曹待遇に昇進してスパルタニアンの搭乗資格を得たばかりのユリアン・ミンツも含まれていた。

なお、原作ではこの戦いがアッテンボローの初登場である(ドーリア星域の会戦の際、作戦指令書に名前だけは出ていた)。ヤンの後輩・後退戦の達人・革命家的思考の持ち主云々の諸設定は、すべてこの後付け加えられた。

アイヘンドルフ艦隊は当初ヤン艦隊の名前を恐れて消極的な戦い方を採っていたが、戦闘開始8~9時間後、相手の多くが素人であると気づいた為攻勢に転じようとした。しかしそれと前後してメルカッツの助言によりヤン艦隊のほぼ全軍が援軍に駆けつけた為、急遽撤退に転じた。追撃戦は行われなかった。

ユリアン・ミンツは初陣となったこの戦いでワルキューレ3機と巡航艦1隻を破壊し、曹長待遇に昇進した。

第8次イゼルローン攻防戦 編集

宇宙暦798年/帝国暦489年4月~5月。帝国軍科学技術総監シャフト技術大将の「ガイエスブルク要塞イゼルローン回廊ワープさせ、イゼルローン要塞との戦いに利用する」という提案に基づいて実行された戦い。投入された艦艇は16,000隻。動員された将兵は200万人。作戦司令官はケンプ大将。副司令官はミュラー大将。ワープ装置の設置と実験も両者が行い、3月19日にワープ実験に成功、ラインハルトによって作戦が正式に承認される。

これに先立ち、フェザーンのルビンスキーケッセルリンクの工作によってヤンがハイネセンに呼び戻され、叛乱の意思があるという口実で同盟政府の査問会にかけられた。その最中の4月10日、ガイエスブルク要塞がイゼルローン回廊に出現し、戦闘が開始された。この知らせにより、同盟政府は不承不承ながらヤンを解放し、4つの寄せ集めの独立艦隊を援軍として救援に向わせた。到着は4週間後。

ヤン不在のイゼルローン要塞は、司令官代理のキャゼルヌが指揮を執った。実戦指揮の経験が少ない事と、ヤンの到着を待つという戦略を採った為、常に後手に回る展開となったが、幕僚の努力に加えて客員提督であるメルカッツの助言/艦隊指揮もあり、また、ヤンの不在が帝国軍には知られず、ケンプが自重した事もあって、攻略されるには至らなかった。ミュラーは捕虜からの情報と相手の様子からヤン不在とイゼルローンへの援軍を予測したが、ケンプが意見を却下したため確認と待ち伏せが出来なかった。

5月に帝国の偵察部隊が同盟の援軍を発見した。ケンプは時間差による各個撃破を立案したが、ユリアンがその作戦を見抜いて逆手に取る事を提案した。これにより、帝国軍は挟撃されて殲滅されかかったが、窮地に追い込まれたケンプがガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞にぶつけて破壊する事を思いついた。しかしヤンはガイエスブルク要塞が動き出す瞬間を狙って移動用エンジンのひとつを砲撃で破壊。推進軸をずらされ、艦隊を巻き込みながらスピンを始めたガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞がトール・ハンマーで砲撃し、ガイエスブルクは爆発に至った。ケンプは要塞内で死亡。要塞内及び周辺宙域の帝国軍残存部隊のほとんどが爆発に巻き込まれる形で損害を被り、ミュラーは旗艦リューベックの艦橋で肋骨4本の骨折を含む全治3ヶ月の重傷を負いながらも、艦橋に医療ベッドを据え付けさせて敗残兵の指揮を取り続けた。

援軍の一隊であるアラルコンと駐留分艦隊のグエンがヤンの意思に反して追撃に向ったが、援軍として途中まで来ていたミッターマイヤーロイエンタールの両艦隊に逆撃され全滅。それを知ったヤンは撤退し、帝国側も引き上げた為、戦いは終了した。

帝国軍の損害は約9割に上ったが、ケンプは敗死しながらも上級大将に特進。ミュラーも罰は受けなかった。シャフトは敗戦の責任は問われなかったが、用済みと判断したフェザーン側の密告により汚職が判明、ケスラー率いる憲兵隊に逮捕された。

これ以降、移動要塞を用いた作戦は行われていない。初めて移動要塞を用いた結果がこの惨敗、しかも移動要塞を新造するにしろ既存の要塞を改造するにしろ、多大なコストがかかるのは自明である上に、ヤンがあっさりと対抗戦術を確立してしまったのでは、二度と試みられなかったのも当然である。ただし後にフェザーン回廊に設置された「影の城」「三元帥の城」の両要塞(イゼルローン・ガイエスブルグよりは小型)は、別所で建造されたものを回廊両端に移動した事が示唆されており、その技術は生かされたと思われる。

アニメ版では、ガイエスブルグ要塞の接近でイゼルローンの流体金属装甲に引力による「満潮」を起こし、近接側の流体金属層が引き寄せられて厚くなった結果、要塞反対側が「乾上って」内部が露出、そこをミュラー艦隊が攻撃するという策がとられた。が、実際の満ち潮は要塞そのものも引力に引き寄せられるため、「取り残された」反対側の流体金属層も厚くなり、薄くなるのは90度方向がずれた「両極」である(地球の潮汐も、月に近い側と遠い側双方が満潮になる)。考証ミスではあるが、「陽動で背後を衝く」というわかりやすさと画的演出が優先された結果と思われる。

なおアニメ版では、この戦いの裏には「アムリッツアクーデターで同盟が傷ついたのに合わせ、今度は帝国に傷ついてもらってパワーバランスを維持しよう」というルビンスキーの意図があった、という設定が付け加えられ、移動要塞の技術もシャフトが開発したのではなく、フェザーンからの横流しということになっている。

しかし、ラインハルトの改革によって立ち直った帝国と、アスターテ・アムリッツアの傷が癒えぬ同盟との国力差は、すでに「調整不能」なまでに開いてしまっていた。それを知ったルビンスキーは、フェザーン伝統の勢力均衡策を放棄。同盟を切り捨てて「勝ち馬」ラインハルトに全面的に乗り換える、そしてフェザーンではなくルビンスキー個人が「馬」を御して銀河を制することを決意する。

ラグナロック(神々の黄昏)作戦 編集

宇宙暦798年/帝国暦489年8月~翌年5月。皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世が誘拐されて、それを画策したレムシャイド伯を筆頭とする銀河帝国正統政府、及び共犯者である同盟政府への懲罰という名目でラインハルトが発令した作戦。この誘拐は「ラインハルトに同盟討伐の口実を与えて取引しよう」というルビンスキーの策であったが、ラインハルトはそれに乗ったふりをして一気にフェザーンをも制圧した。宣戦布告は8月20日(銀河帝国正統政府の樹立宣言と同日)。軍内部への具体的な説明と作戦名の発表は9月19日。最終的な人事の発表は11月8日。最初の戦闘は11月20日(イゼルローン要塞攻略作戦)。戦闘終了は翌年5月5日(バーミリオン星域会戦)。書類上の終結は5月25日(バーラトの和約)。

フェザーン回廊に向う本隊の布陣は、

イゼルローン要塞への陽動作戦は、司令官がロイエンタール。指揮下にルッツレンネンカンプ、後詰めとしてアイゼナッハが配された。なお、ケスラーメックリンガーはそれぞれ首都防衛司令官/後方担当として残留した。

ランテマリオ会戦までは、ほぼラインハルトの思惑通りに進んだが、同会戦の終了間際からヤンが艦隊を自由に運用して対抗し始めた為、帝国軍は次第に不利になっていく。ラインハルトはヤンとの決戦を行う為、自分をおとりにしてヤンを誘い出し、包囲する作戦に出た。ラインハルトを戦場で倒す事が同盟存続の唯一の道であると考えていたヤンは、罠である事を承知の上でラインハルトとの艦隊決戦に赴き、バーミリオン星域で対戦した。戦闘自体は途中でミュラーの来援があったものの、ヤンが事実上の勝利をおさめたが、ブリュンヒルトが砲撃される直前、ヒルダの提案を受けたミッターマイヤーとロイエンタールがハイネセンの同盟政府を降伏に至らしめた為、戦闘は停止した。

戦闘停止後の混乱時に、ヤンはメルカッツに「動くシャーウッドの森」を託して逃亡させた。艦艇は60隻。同行者は副官のシュナイダーやポプラン、リンツ及び将兵11,800人。なお、この中にカーテローゼ・フォン・クロイツェルが含まれている事が後日判明する。また、戦闘終了から24時間後の5月6日23時に、ヤンとラインハルトは史上唯一の会談に臨んでいる。

この作戦の後の6月22日、オーディンに戻ったラインハルトは皇帝に即位し、ローエングラム王朝が成立した。ミッターマイヤーは宇宙艦隊司令長官に、ロイエンタールは統帥本部総長に、オーベルシュタインは軍務尚書に就任。3者とも元帥号を授与された。それ以外の主要提督もそれぞれ上級大将に昇進したが、特にバーミリオン会戦での功績が認められたミュラーは上級大将首座とされた。同盟では、ヤンが退役して念願だった年金生活に入り、フレデリカ結婚した。ビュコックアッテンボローシェーンコップも退役したがキャゼルヌは辞表を却下され後方本部長代理に任じられた。ムライ、パトリチェフ、フィッシャーは辺境勤務に任じられた。ユリアンはボリス・コーネフやルイ・マシュンゴ、途中で合流したポプランらと供に親不孝号地球に向った。

第9次イゼルローン攻防戦 編集

宇宙暦798年/帝国暦489年10月9日~翌年1月19日

ラグナロック作戦中の陽動として行われた戦闘。しかし指揮するロイエンタールはヤンをイゼルローンに拘束し、今後の策を立てる余裕を与えぬために、陽動といえども手を抜くことなく攻勢をかけた。

最初の戦闘では、ローゼンリッターが旗艦トリスタンへの突入に成功、シェーンコップロイエンタールの一騎打ちが実現している。

その後も戦闘は断続的に続き、レンネンカンプがアッテンボローの罠にかかって3割の損害を出した戦いも行われた。12月9日にロイエンタールは援軍の要請(に見せかけたフェザーン侵攻作戦の開始要請)をラインハルトに上申した。フェザーンが占領された後の1月19日に、ヤンが放棄したイゼルローン要塞にロイエンタールが無血で進駐。本戦闘は終了した。

なお、ロイエンタールはヤン艦隊の追撃を進言したベルゲングリューンに対し、「野に獣がいなくなれば猟犬は無用になる。だから猟犬は獣を狩りつくすのを避ける…(「狡兎死して走狗煮らる」)」という、極めて意味深な返答をして却下している。

フェザーン侵攻作戦 編集

宇宙暦798年/帝国暦489年12月。イゼルローン要塞への陽動攻撃に乗じて、ラグナロック作戦の本隊が行った侵攻作戦。

第一陣のミッターマイヤー艦隊が出陣したのは12月9日と推定。当初はイゼルローン方面への援軍という名目で出陣し、兵士にもそう説明されていた。ミッターマイヤー艦隊の全兵士にフェザーン占領が目的であると伝えられたのは12月13日。艦隊がフェザーンの衛星軌道に到達したのは同24日。フェザーンには対抗するだけの軍事力が無いため、第1陣のミッターマイヤー艦隊のみで即日無血占領が完了した。第2陣のミュラー到着は同月28日、ラインハルトの本隊到着は同月30日16時50分。

この時、駐在武官としてフェザーンに赴任していたユリアンは、ヤンとの事前の打ち合わせでこの事態を予想しており、マシュンゴ及び弁務官のヘンスローとともに逃亡。翌年1月24日に、マリネスクの手引きにより、ベリョースカ号でフェザーンを脱出した。なお、ドミニク・サン・ピエールの手配でデグスビイ司教が同乗しており、フェザーンと地球教に繋がりがある事をユリアンに話した後、薬物中毒で死亡した。

ランテマリオ星域会戦 編集

宇宙暦799年/帝国暦490年2月8日。フェザーンを占領して同盟領に侵攻した帝国軍本隊と同盟軍本隊の戦い。

帝国軍は1月30日にポレヴィト星域に集結し「双頭の蛇」の陣形に編成を変えた。第1陣=ラインハルト、第2陣=シュタインメッツ、第3陣(事実上の先陣)=ミッターマイヤー、第4陣=ミュラー、第5陣=ワーレン、予備兵力=ファーレンハイト/ビッテンフェルト。戦力は戦闘用艦艇11万2700隻、支援用艦艇4万1900隻、将兵1,660万人。

同盟軍は2月4日にバーラト星系から進発した。司令官がビュコック、総参謀長がチュン・ウー・チェン、副官がスーン・スール。参加艦隊はパエッタの第1艦隊に加え、同盟中から集めた艦艇で第14/第15艦隊を新設し、モートンとカールセンが司令官に任じられた。兵力は艦艇数3万2900隻、将兵520万6000人。この戦いに先立ってビュコックは元帥に昇進している。

2月8日13時40分、同盟軍は帝国軍ミッターマイヤー艦隊の側面5.1光秒の距離に位置し、その5分後に攻撃を開始した(アニメでは13時に5.2光秒の距離に位置し、攻撃開始のタイミングを計っていたが、味方の一部が勝手に砲撃を始めてしまった為、なしくずしに戦闘状態に突入した事になっている)。ビュコックは慎重に戦闘を進めるつもりだったが、味方の一部がヒステリー状態で無秩序に砲撃、それが効を奏してミッターマイヤー艦隊に亀裂が入り、そのまま押し込む形で進撃を始めた。しかしミッターマイヤー艦隊がすぐに体勢を立て直す事を察した為、同盟軍は一旦後退した。そこに左右から他の帝国軍艦隊が襲来した為、戦闘は消耗戦に移った。翌2月9日、戦力差が明確になり始めた頃、ラインハルトはとどめを刺す事を決め、待機していたビッテンフェルトに出撃を命じた。11時にシュワルツ・ランツェンレイターが行動を開始。帝国軍と同盟軍の間のエネルギー流を強行突破し、同盟軍の集中攻撃に耐えながら反撃して同盟軍の主力を撃砕、勝敗が決した。だがその時、帝国軍の背後からヤン艦隊が接近している事が判明し、帝国軍は一時パニックを起こした。ラインハルトは体勢を立て直す為一時撤収し、戦場から2.4光年離れたガンダルヴァ星域の第2惑星ウルヴァシーを占領して侵攻の拠点とした。ヤンはビュコックの本隊と合流し、バーラト星系に撤退した。

なお、この時、帝国軍の駆逐艦ハーメルンⅣを乗っ取ったユリアン達が、最後尾のフィッシャー艦隊にコンタクトし、合流を果たしている。

ライガール・トリプラ両星域の会戦 編集

宇宙暦799年/帝国暦490年3月1日~ヤン艦隊と、帝国軍のシュタインメッツ/レンネンカンプ艦隊との連戦。

この直前にゾンバルト少将が護衛する補給艦隊がヤン艦隊によって全滅させられた為、ラインハルトはウルヴァシーの恒久基地化の邪魔になるヤン艦隊を排除するべく、シュタインメッツ艦隊に探査を命じた。そして3月1日、ライガール・トリプラ両星域の中間にあるブラックホールの安全領域ぎりぎりに(シュバルツシルト半径は9kmほど)ヤン艦隊が凸形陣で布陣している事を知り、本隊に連絡した。連絡を受けた本隊からはレンネンカンプ艦隊が援軍に赴いた。

同日21時にヤン艦隊とシュタインメッツ艦隊が戦闘状態に突入。当初は双方とも正面からの砲撃戦を展開していたが、翌日5時30分にヤン艦隊が中央突破・背面展開戦法を使ってシュタインメッツ艦隊をブラックホールに追い込み始めた。シュタインメッツはアニメ版では「態勢を入れ替えられたのなら、また入れ替えればいい」と同じく中央突破・背面展開による反攻を試みるが、艦隊を集結させたところで一点集中砲火を受けて断念。ある程度の犠牲が出る事を覚悟して4時方向に転進/ブラックホールを利用したスイングバイで脱出に成功したが、最終的に8割の損害を出した。

なお、この戦いの後、亜光速の氷塊や移動要塞やブラックホールといった、SFならではのガジェットを用いた戦いは行われていない。

シュタインメッツ艦隊との戦いの後逃走する事を考えていたヤンは、援軍がレンネンカンプ艦隊だと知り予定を変更。「戦うことなく自分からわざと後退する」という艦隊運用で心理戦を仕掛け、タイミングを計って攻勢を仕掛けた。先のイゼルローン攻略戦で後退するヤン艦隊を追撃して罠にはまったレンネンカンプ艦隊は、ヤンの読みどおり疑心暗鬼に陥って今度は後退してしまい、そこにヤンの先制攻撃を受けて潰走。同日13時にようやく秩序を回復したものの、その時既にヤン艦隊に逃げられてしまっていた。

この戦いに先立って、ヤンは元帥に昇進し、勤労意欲に目覚めたアイランズ国防委員長の承認により、ヤン及びヤン艦隊がほぼ自由に戦術と戦略を組み立てる事が出来る様になった。帝国駆逐艦乗っ取りという功績で中尉に昇進したユリアンと銀河帝国正統政府を事実上見限ったメルカッツが復帰し、キャゼルヌも中将に昇進してイゼルローンから引き続き同行、シェーンコップは中将に、フレデリカは少佐に昇進した。さらにアニメ版ではモートンとカールセン、及び第14/15艦隊の残存部隊が合流する様子が描かれたが、パエッタと第1艦隊の残存部隊については言及されていない。

タッシリ星域の会戦 編集

宇宙暦799年/帝国暦490年3月ヤン艦隊とワーレン艦隊の戦い。

ゾンバルト少将が護衛していた補給艦隊が全滅したため、ウルヴァシーの物資が不足し始めた。この事態を打開する為、ワーレンが自分自身の艦隊で同盟の補給基地を襲って物資を奪う案を上申し、ラインハルトの消極的な承認を得て進発した。それに気づいたヤンはタッシリ星域で護衛が不十分に見える補給コンテナ群を配置し、故意にワーレン艦隊に奪わせた。ワーレン艦隊の中央部分に取り込まれた補給コンテナ群が、自動射撃装置による僅かな反撃を開始した為、ワーレンは物資を奪う事を断念して補給コンテナ群を攻撃した。しかしその補給コンテナ群は液体ヘリウムを満載していたブービートラップだった為大爆発が発生(原作では言及されていないが、アニメ版において『ヘリウム爆発』との表現がある為、恐らく核融合反応によるもの)。そこにヤン艦隊が砲火を浴びせた為、ワーレン艦隊は大きな損害を出しつつ敗走した。また会戦の後にワーレンは星域から離脱するヤン艦隊を偵察、同盟各地の補給基地を転々として特定の拠点を設けない、いわば同盟領全域を利用したゲリラ戦を展開している事、すなわち正攻法で捕捉撃滅することは出来ないことを突き止めた。

バーミリオン星域会戦 編集

宇宙暦799年/帝国暦490年4月24日~5月5日ヤン艦隊とラインハルトが直接指揮する艦隊の戦い。当初から参加した兵力は、帝国軍が艦艇18,800隻/将兵229万5400人。同盟軍が艦艇16,420隻/将兵190万7600人。ただし帝国軍は途中からミュラー艦隊約8,000隻が参戦した。

テンプレート:Battlebox ヤン艦隊をおびき出す為、ラインハルトは全艦隊を同盟領各地の占領の為に分散させ、さらに自らもハイネセンに打って出て、ヤンを予定よりも早くおびき出そうとした。罠である事を承知の上でヤンはラインハルトとの「決闘」に向った。砲撃戦が開始されたのは4月24日14時20分。双方とも相手の奇襲に対応しようと考えていた為、結果として平凡な正面攻撃の応酬で始まったが、トゥルナイゼンが功をあせって帝国軍の艦列を乱し、ヤン艦隊の集中砲火を浴びる事となった。一方の帝国軍も反撃し、双方とも犠牲を出した。

帝国軍の援軍が到着する事を予想したヤン艦隊は、27日に再編成を行い速攻に転じた。いち速くラインハルトの旗艦を撃沈して、勝敗を決しようという作戦である。最初からこうなる事を見越していたラインハルトは、時間稼ぎを目的としてペティコートのように24段に及ぶ防御陣を敷いて対応した。そして突破された防御陣は再び再結集して最後尾の防御陣となり、ヤン艦隊は永遠に防御陣を突破できないという作戦である。当初はヤンにも帝国軍の戦法が理解出来なかったが、ユリアンが見抜いてその見解を披露した。

その見解に基づき、ヤンは4月30日に一旦後退して小惑星帯に入った後、艦隊を二分した。数からいって、おそらく片方が囮であるとラインハルトは見抜いたが、どちらが囮であるかの判断がつかなかった。迷った末に左翼方向に展開する艦隊を本隊であると断定して、防御陣を解いて各分艦隊に攻撃を命令した。成功すれば艦隊を二分したヤン艦隊を各個撃破できる。しかしそれは、マリノ率いる2000隻の分艦隊と牽引した隕石で1万隻程度の艦艇に見せかけた擬似艦隊であり、完全にラインハルトは裏をかかれた。各分艦隊が囮に引き寄せられてブリュンヒルトから離れた瞬間、ヤンの本隊が小惑星帯から進発してブリュンヒルトに向った。帝国軍の各分艦隊が気づいて急ぎ引き返したが、それを予期していたヤン艦隊本隊と囮艦隊によって包囲攻撃を受け、さらには囮として牽引されていた隕石群を艦列に撃ち込まれ、ラインハルトの本隊と完全に分断されて足止めされてしまう。ひたすら旗艦をめざすのではなく、ラインハルトの艦隊を分断して、前衛部隊を各個撃破で殲滅しようという作戦であった。

この時、本隊以外のラインハルト艦隊のほとんどを包囲下に置く事に成功したため、同時にヤン艦隊の一部艦隊が、わずかな護衛に伴われるのみのブリュンヒルトに接近した。だが攻撃が開始される寸前の5月2日、抵抗が起きずに、占領の手間がかからなかったため、いちはやく反転したミュラー艦隊8000隻(戦場に急行するため、ついてこられない艦艇を置き去りにしている)がバーミリオン星域に到着・参戦した。戦いは再び膠着し、モートンが戦死した。

この直後、ヤンはカルナップが包囲網を突破しようとしている事に気がついてその部分の包囲網を解き、ミュラーが逆に味方を救出する為包囲網に入る様に仕向けた。ミュラーとカルナップが逆方向から殺到して混乱状態になった瞬間、ヤン艦隊は一点集中砲火を仕掛けてカルナップを戦死させ、さらにミュラーの旗艦リューベックをも大破、撃沈に至らしめた。ミュラーは辛うじて脱出に成功したが、さらに臨時の仮旗艦を2度までも撃沈された。しかしそれでもなお後退せず、計4度司令部を移してまで抗戦して「鉄壁ミュラー」と勇名を讃えられたが、ヤン艦隊の進撃を食い止める事は出来なかった。5月5日22時40分、ヤン艦隊は再びブリュンヒルトを射程内にとらえようとしていた。が、事前にヒルダの策を受けたミッターマイヤー・ロイエンタールの別働隊がハイネセン上空を制圧。自らの命が危うくなったヨブ・トリューニヒトは、日頃の大口を忘れて時間稼ぎさえせずに無条件停戦命令を下し、戦闘は終結した。最終的な参加数は、帝国軍が26,940隻/326万3100人。損傷率は87.2%、死傷率は72%。同盟軍が16,420隻/190万7600人。損傷率は81.6%、死傷率は73.7%。

なお、この戦闘に先立つ4月11日、ヤン艦隊は小惑星ルドミラの補給基地で半日休暇を取ったが、その際ヤンはフレデリカにプロポーズし受諾されている。また、フレデリカに密かな恋心を抱いていたユリアンは、それを忘れる為という一面もあって、戦闘後に生き残ったら地球教の調査に向う事をキャゼルヌに伝えている。

このバーミリオン星域会戦においてどちらが勝利したかについては、後世の歴史家の意見が分かれている(と作中で設定されている)。公正さを主張したい歴史家は「戦術では同盟の勝利。戦略では帝国の勝利」「戦場では同盟の勝利。戦場の外では帝国の勝利」などと主張している。当事者であるヤンは戦術より戦略を重視する立場から、ラインハルトは勝利を得たのでなくて譲られたという事から、ともに自らを勝利者とは認めず、互いに相手に対して劣等感を抱いていたと説明されている。ちなみにヤン艦隊の一部幕僚は、自分たちの負けを認めず、ラインハルトに勝利を譲ってやっただけと考えていた(回廊の戦いにおけるアッテンボローの扇動より)。あえて言えば、民主主義という制度(軍人は文民に従わなければならず、その代表にトリューニヒトを選んだ)の負け、あるいは独断専行したヒルダ(と忠誠心ゆえの独断専行を許す体制)の勝ちともいえる。

ハイネセン制圧作戦 編集

宇宙暦799年/帝国暦490年5月5日ミッターマイヤーロイエンタールによる同盟首都星ハイネセンの侵攻作戦。

バーミリオン会戦におけるラインハルトの危機を感じたヒルダが、5月2日に独断でエリューセラ星域にいたミッターマイヤーと面談し、ハイネセンの占領を促した。当初は懐疑的だったミッターマイヤーも説得を受けて同意し、隣のリオヴェルデ星域にいるロイエンタールに連絡して同行を要請した。ロイエンタールは様々な想いを抱きながらも同意し、ミッターマイヤーとともにバーラト星域に急行した。両艦隊とも5月4日にバーラト星系に到着。翌5日にはハイネセンの衛星軌道に達し、同盟政府に無条件降伏を勧告、国防委員長のアイランズは最後まで抵抗することを主張した。しかし、それまで職務放棄し、また日頃国民を扇動、最後の最後まで抵抗しろと主張していたトリューニヒトが反対派の抵抗を地球教徒の手を借りて排除し、時間稼ぎ一つしようとせずに降伏勧告を受諾。ブリュンヒルトを眼前に捉えていたヤン艦隊に即時停戦することを命令した。そしてトリューニヒトは苦悩も反省の色もなく、厚顔にも自分と家族の安全の保証、帝国での地位までもを自分から要求した。「アルテミスの首飾りがヤンによって全て破壊されていなければ抗戦できた。ヤンが何だ」というのが、本人の弁であった(ただしアニメ版においては、既に帝国軍は過去のカストロプ動乱時にアルテミスの首飾りとまったく同じ防衛兵器を完全に破壊している)。

この作戦によって帝国軍はハイネセンを無血開城する事が出来、ラグナロック作戦は成功に終わった。また、この作戦を考案したヒルダの戦略/政略センスが非凡なものである事が知られる事となった。ただしバーミリオン星域の戦闘で負けたまま勝利を譲られた形になったラインハルトのプライドは大きく傷つき、しばらくの間はヒルダに対して複雑な感情を抱かずにいられなかった事を自ら口にしている。

新帝国暦/宇宙暦時代 編集

キュンメル事件~地球教支部での戦闘 編集

宇宙暦799年/新帝国暦1年7月6日、ハインリッヒ・フォン・キュンメル邸で発生したラインハルト暗殺未遂事件及び憲兵隊による地球教支部の制圧。

7月1日、フランツ・フォン・マリーンドルフが、余命いくばくも無い甥のキュンメル男爵が自邸への行幸を望んでいる事を新皇帝となったラインハルトに打ち明けた。同情したラインハルトはその願いを聞きいれ、6日、16名の随行者を伴ってキュンメル邸を訪ねた。中庭に通された一行は、地下にゼッフル粒子が充満している事をキュンメルから聞かされ、騒然となった。だがラインハルトは平然とした様子を崩さず、それがキュンメルの苛立ちを誘った。

その一方で、帝国に「保護」されていたトリューニヒトが憲兵隊司令部のケスラーと面会し、キュンメルの計画と背後の地球教の存在を暴露した(この理由については諸説あるが、それを踏み台に帝国の政治に関わろうとした、という説が有力)。ケスラーはトリューニヒトを実質的に拘禁した後キュンメル邸に連絡を入れ、通話不能と分かると、近隣の武装憲兵隊の責任者であるパウマン准将以下2400名を現場に向かわせた。更にラフト准将の隊に、カッセル街19番地の地球教オーディン支部の出動を命じた。支部では戦闘となり、憲兵隊と信者の双方に犠牲者が出たが、最終的に憲兵隊が制圧に成功し、ゴドウィン大司教を逮捕した。

この時、膠着状態となっていたキュンメル邸にようやくパウマン准将の隊が到着した。キスリング達はその気配に気づき、機会を伺っていた。だがそれを他所に、キュンメルはラインハルトが胸の(キルヒアイスの遺髪と写真が入っている)ペンダントを無意識に触っている事に気が付き、それを見せる様に命令した。それによって自分の無意識の行動に気が付いたラインハルトは、その命令を拒絶した。シュトライトやキスリング達がラインハルトに時間稼ぎの説得を試みたが、譲れない内容を秘めたラインハルトは頑として応じなかった。逆上したキュンメルは無理に奪おうとし、ラインハルトはキュンメルの横面を叩いてそれを防いだ。その空白を突いてキスリングがキュンメルにタックルし、身体が衰弱していたキュンメルはその衝撃で死亡した。隠れていた地球教の信者も銃撃に失敗し、ラインハルトは無事に引き上げた。

この事件の後、マリーンドルフ親娘は自主的に謹慎したが、ラインハルトは短期間で復帰を命じ、また「殺人犯の凶器まで処罰する必要はない」とキュンメルの罪も不問に付した。その一方、10日の御前会議でワーレンの艦隊に地球教本部の制圧を命じた。

ヤン・ウェンリーを巡る惑星ハイネセンの戦い 編集

宇宙暦799年/新帝国暦1年7月16日~24日

7月16日、レサヴィク星系において、バーラトの和約によって決定した戦闘艦艇の破壊と解体の作業が開始されようとしていた時、素性を隠して「義勇兵集団」と名乗った動くシャーウッドの森の一党が作業部隊を襲撃し、破壊される寸前だった艦艇の内戦艦464隻/空母(宇宙母艦)80隻を「入手」した(された側は「強奪」と表現した)。また「義勇兵集団」の呼びかけに応じたハムディー・アシュール少佐以下4000名もの「お調子もの」が合流した。

「この一件は「ヤンが企ててメルカッツが実行した」という密告が同盟要人によって帝国の高等弁務官府にもたらされ、レンネンカンプはそれを基にフンメル首席補佐官と話し合い、同月20日、同盟政府に対してヤンを逮捕する様に勧告した(その直後、オーベルシュタインから超光速通信が入り、レンネンカンプに「これを利用してヤン一党を一網打尽にすべき」と更なる陰謀が吹き込まれている)。帝国の勧告を受けたジョアン・レベロは窮地に立たされ、ホアン・ルイのアドバイスでさらに決断に迷ったが、(アニメ版では)密告者の一人であるオリベイラの提案を受け入れて逮捕した。

22日、自宅にいたヤンが中央検察庁の使者(と名乗った半ダース程のダークスーツの男達)に逮捕された。フレデリカは事前にその危険性を感じていたが、ここに至って我慢の限界を感じ、ヤンを奪回すべく、シェーンコップとアッテンボローに連絡をとった。同盟政府の意を受けた警察が二人を追尾し始めたが、ローゼンリッターの迎撃に遭い壊滅、二人はローゼンリッター(及びバグダッシュ)と合流してジョアン・レベロを拉致し、同盟軍にヤンとレベロの身柄交換を要求した。この時、統合作戦本部長の任にあったロックウェルが応対し、この件が広まれば帝国につけこまれると考え、ヤンの謀殺を思い至ったが、この事を予期していたシェーンコップ達がヤンの監禁場所に向かっていた。間一髪で救い出されたヤンは、シェーンコップやフレデリカ達とともにレベロを監禁している場所に行き、自分達がレンネンカンプを人質にしてハイネセンを離れるので、策謀に加わらなかったキャゼルヌやムライ、フィッシャー、パトリチェフの責任を追及しないでほしいと提案、レベロは不承不承ながら受諾した。

翌早朝、高等弁務官府がおかれているホテル・シャングリラをローゼンリッターが急襲、レンネンカンプの拉致に成功したが、自分がヤンに負け、さらにレベロに売られた事を悟ったレンネンカンプは、監禁された部屋で首吊り自殺を遂げた。フレデリカの提案により、ヤン達はレンネンカンプがまだ生きている事にして交渉を続行、同盟軍から巡航艦レダIIを手に入れ、24日にハイネセンを離れている。なお、直前に事態を知らされたキャゼルヌは、迷うこと無く後方勤務本部長代理の職を捨て、家族とともにヤン一党と合流している。

地球教討伐作戦 編集

宇宙暦799年/新帝国暦1年7月27日ワーレン艦隊による地球教本部(地球・ヒマラヤ山脈カンチェンジュンガ山)への討伐作戦。発端となったキュンメル事件の発生は7月6日。出征を決定した御前会議は10日。ワーレン艦隊が太陽系外縁部に到達したのは24日。同日艦隊旗艦サラマンドルの艦橋で討伐を阻止するためにワーレンを狙ったテロが発生。27日に昏睡から脱したワーレンはコンラート・リンザー少佐及び2個大隊に地球教本部の偵察と進路設定を命令。30日までに作戦が終了。8月1日にはワーレン艦隊第1波はオーディンへの帰路に着いた。

御前会議においてビッテンフェルトは主戦論を展開し、自分をその任に就けてほしいと願い出たが、ラインハルトはその願いを却下し、ワーレンに討伐を命じた。これはラグナロック作戦ヤンに敗北した3提督の内、ワーレンだけが名誉挽回の機会を得ていなかった事による。命令を受けたワーレンがオーディンを出立した日は明記されていないが、日を置かず高速艦艇だけ(5440隻)で出立し、航行途中で艦隊編成をしている点から、御前会議の翌日もしくは翌々日ではないかと推測される。太陽系外縁部に到達した24日、艦隊旗艦サラマンドルの艦橋で行われた作戦会議の後、ワーレンは兵士に扮した地球教徒に毒を塗ったナイフで襲われた。一命を取り留めたが、毒に侵された左腕を失ったワーレンは、その事から右腕の無いリンザーを思い出し、先行を命じた。

これに先立つ7月10日、ユリアン一行が地球に到着し、14日に地球教本部に潜入している。先行の命令を受けたコンラート・リンザーは本部内でフェザーンの商人達であると名乗ったユリアン一行の協力を得て各所を制圧し、地球教本部の内部構造を突き止めた。ワーレンはその情報をもとに一箇所を除く各所出入り口をミサイル攻撃でふさぎ、サラマンドルを強行着陸させて装甲擲弾兵を送り込んだ。戦いは最初から帝国軍が圧倒したが、命を投げ出して反撃してくる教徒の異様な振る舞いに神経が耐えられない兵士が続出した。やがて地球教徒自身による本部の爆破が発生し、戦いは終了した。総大主教が脱出せず生き埋めになった事は、脱出したド・ヴィリエ大主教が後日ユリアンに射殺される寸前に語って判明した。

これと平行して、ユリアン達は地球教本部の資料室を発見し、コンピュータに記録されていたデータを一枚の光ディスクにコピーしている。戦闘後に、リンザーから「協力してくれたフェザーンの商人」としてワーレンに紹介されたユリアンはオーディンへの同行を願い出ており、8月1日の艦隊第1波帰還の時に親不孝号で同行している。

余談だが、アニメ版でワーレンが太陽系外縁部に到達した時、作品の発表当時はまだ惑星として認められていた冥王星が、外縁部に達した事を示す意味で背景に描かれている。

第2次ラグナロック作戦(大親征) 編集

宇宙暦799年/新帝国暦1年11月~ヤンの逮捕に始まるハイネセンの混乱の報告を受けたラインハルトが、バーラトの和約を破棄して同盟を併呑する為に決定した作戦。

動くシャーウッドの森」が艦艇を強奪したのは7月16日。ヤンが逮捕されたのは22日。ハイネセンから脱出したのは24日。その報告が帝国にもたらされたのは30日。大本営のフェザーンへの移動発表は8月8日。エル・ファシルの独立宣言は13日。ミッターマイヤーの移動は30日から。ラインハルト自身の移動は9月17日から。作戦の決定は11月1日。第1陣のビッテンフェルト艦隊がフェザーンから進発したのは10日。同日、決定がラインハルトの口から同盟領及び帝国全土に知らされた。出征計画と陣容の発表は翌11日。最初の戦闘は12月2日(ミッターマイヤー艦隊と惑星ルジアーナの造兵廠との交戦)。ヤン一行がエル・ファシル星系に到着したのは9日。ユリアン一行がエル・ファシルに到着したのは11日。マル・アデッタ星域の会戦を経てラインハルトがハイネセンに到着したのは2月9日。作戦終了は20日(冬バラ園の勅令)。ただし回廊の戦いを本作戦の一部とする説もある。

11月11日の会議で発表された艦隊陣容は以下の通り(隊列順)。

また、イゼルローン要塞のルッツ艦隊にも出動命令が下される事になった。オーベルシュタインはフェザーンに残留し留守を預かった。

一方、同盟は一旦退役していたビュコックが復帰し、艦隊司令官に就き、チュン・ウー・チェンが艦隊編成を行っている。

また、ビュコックはこの戦いを「大人だけの宴会」と称し、スーン・スールをはじめとする、30歳以下の将来ある将兵の志願を認めなかった。

チュン・ウー・チェンは同時にムライ/パトリチェフ/フィッシャーを辺境任務から呼び戻し、5,560隻の艦艇と供にヤンの元に送り出した。同盟軍の進発の日は不明だが、アニメ版ではイゼルローン再奪取の実行部隊がエル・ファシルから進発した日と同日とされているので、12月の後半であろうと思われる。

帝国軍はマル・アデッタ星域の会戦で最後の同盟軍艦隊を撃破したが、その直後、イゼルローン要塞が再奪取された事を知った。状況の変化に帝国軍は愕然としたが、作戦に変更は無く。そのままハイネセンに向って再発進した。ラインハルトは急行する事を考えていたが、ヒルダの助言によってゆっくりと進行し、同盟の動揺を誘った。意図は的中し、2月2日に同盟元首のジョアン・レベロが統帥本部長のロックウェル大将とその部下たちに射殺され、自由惑星同盟は降伏を宣言した。帝国軍はハイネセンを無血開城し、冬バラ園の勅令で同盟の消滅を宣言した。

イゼルローン再奪取作戦(第10次イゼルローン攻防戦) 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年1月2日~14日。エル・ファシル革命予備軍となったヤン一党によるイゼルローン要塞の攻略、及びイゼルローンに駐留しているルッツ艦隊との交戦。行動部隊の陣容は、艦隊指揮がメルカッツ、突入部隊がシェーンコップとローゼンリッター、ユリアンポプラン、マシュンゴ、及び参加希望者。情報操作担当がバグダッシュ。ヤンが直接指揮を執る事に対して独立政府が難色を示した為、ヤン及びアッテンボローがエル・ファシルに残留した。また、カリンが自分の娘だと知ったシェーンコップが、カリンの参加希望を却下した。その理由は明確には示されていない。

情報操作の為の最初の通信がバグダッシュから発せられたのは1月2日。ラインハルトの名前で、艦隊が第2次ラグナロック作戦に参加する事を命じていた。だが翌3日に、前日とは逆に出撃禁止及び内通者捜索の命令が届き、捜索の結果、幾人かの逮捕者が出た。この事で、ルッツは後者の通信の方を信用し、これ以降に届いた出撃を促す通信を無視する様になった。

1月7日、5本目に届いた出撃命令(これがラインハルトからの本当の命令)が届いてもルッツが動かない事を知ったバグダッシュは、脅迫めいた通信を送ってルッツの幕僚を戦慄させた。さまざまな思慮の末、これがヤンの罠だと結論づけたルッツは、逆に罠にかけるべく出撃、要塞を留守にすると見せかけて反転し、要塞と挟み撃ちにする作戦を立案した。ルッツ艦隊の出撃は12日、翌13日にはその報がヤン一党に届き、イゼルローン要塞に向けて出動した。

だがルッツの思惑に反して、イゼルローン要塞は、ヤン一党がトール・ハンマーの射程距離に入った時点で、バグダッシュが発した「健康と美容のために、食後に一杯の紅茶」という通信を受領し、要塞の制御システムをつかさどるコンピュータが機能を停止していた。これは「第9次イゼルローン攻防戦」でヤンが要塞を放棄した時に仕掛けた罠であり、これによってゲートの開閉も防御システムの稼動も不可能となった。

ヤン一党の突入部隊は要塞の軍港に強行着陸し、白兵戦の末、23時20分にAS28ブロックの第4予備制御室を占拠した。ユリアンが制御卓から「ロシアン・ティーを一杯。ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で」と回路に入力して制御システムを奪い、23時25分、帰還途上のルッツ艦隊にトール・ハンマーを発射。これに気づいたルッツは急遽散開行動を命じたものの、艦隊の1割を破壊された。そしてその光景を見た要塞守備隊の戦意も破壊され、次々と潰走・降伏していった。

14日0時45分、帝国軍の守将ヴェーラー中将が、部下の安全な退去と引き換えに要塞の放棄に応じる事を打診。意思決定を委ねられたユリアンは7分後に条件を受諾する返答を送り、戦闘は終了した。要塞内の帝国軍、及び損害を被ったルッツ艦隊は撤退した。なお、0時59分に、ピストル自殺を遂げたヴェーラー中将の遺体が執務室で発見された。

原作でこの戦いが執筆されたのは1987年のことであり、サイバー攻撃はおろかコンピューターウィルスさえまだ一般的ではなかった。

マル・アデッタ星域会戦 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年1月16日。バーラト星系に侵攻を続ける帝国艦隊と、それに対抗しようとする同盟艦隊の交戦。1月8日、ミッターマイヤー艦隊の前方に1,000隻以上の艦艇が出現。同10日、同盟軍が20,000隻以上の戦力を有している事が判明。同13日、帝国軍の前方、恒星マル・アデッタ付近に同盟軍が布陣。同16日に戦闘開始。なお、マル・アデッタは不安定な状態の恒星であり、周囲に無数の小惑星を従えている。

同盟の艦隊司令官はビュコック。参謀長はチュン。分艦隊司令官はカールセン。参加幕僚はザーニアル少将/マリネッティ少将など。戦力は推定で艦艇20,000~22,000隻/将兵230万~250万人。なお、副官のスールは別の命令を受けて(実際には若いスールを死なせたくないというビュコックの配慮から)ムライ達に同行してヤンの元に向った。

戦闘態勢に入った帝国軍の陣容は、中央部がラインハルトの直属艦隊。左翼がミッターマイヤー艦隊、右翼がアイゼナッハ艦隊、後衛がミュラー艦隊、予備兵力がファーレンハイト艦隊、前衛はクナップシュタイン/グリルパルツァーの両艦隊。なお、先行したビッテンフェルト艦隊は連絡が取れず、戦闘開始時には参戦出来なかった。

16日10時30分、正面からの砲撃戦開始。第1撃の後、同盟軍が小惑星帯に撤退。グリルパルツァー艦隊が追撃したが逆撃され、3割の損害を出して撤退。ラインハルトはファーレンハイト艦隊を同盟軍の背後に差し向け、同時にクナップシュタイン艦隊に陽動を命じた。13時にクナップシュタイン艦隊が攻撃を開始したが、逆に多くの損害を出して苦戦に陥る。15時40分にファーレンハイト艦隊が同盟軍背後にまわり込む事に成功したが、16時20分、左側背からカールセンの分艦隊が攻撃を開始。ファーレンハイト艦隊は後退を余儀なくされた。20時30分、カールセン艦隊は迂回して帝国軍本隊の背後に回り込み、ミュラー艦隊と戦闘を開始。その背後にはファーレンハイト艦隊が、さらにその背後にはクナップシュタイン艦隊を機雷で足止めしたビュコックの同盟本隊が続いた。その後、2つの同盟艦隊は連携を以って帝国軍本隊攻撃を試みたが、ミュラー艦隊とファーレンハイト艦隊、21時18分に右翼から迂回して戦いに加わったアイゼナッハ艦隊の抵抗に遭い、進軍を止められていた。22時、恒星風の影響で帝国軍の艦列が乱れたのを機に、同盟軍は一気に進撃を試みたが、側面からミッターマイヤー艦隊が突入した為またも進撃を止められた。そして22時50分、先行していたビッテンフェルト艦隊が戦域に到着し、攻勢が限界に来ていた同盟軍に攻撃を加えた。23時10分、カールセンが乗艦ディオメデスと共に戦死。同盟軍は敗走を開始したが、艦隊旗艦のリオ・グランデと、その意を汲んだ100隻程度の艦艇が、味方の退路を確保する為戦闘を継続した。

23時30分、(ヒルダに説得された)ラインハルトの意を受けたミッターマイヤーが降伏を勧告したが、ビュコックは君主制(帝国主義)には降伏出来ないという自説を返答して勧告を拒否。ラインハルトは砲撃を命じ、リオ・グランデは破壊され、ビュコックとチュン、艦長のエマーソンは乾杯しながら消滅した。戦場を離脱した同盟軍の残存艦艇はヤンの下に去り、「帝国軍対同盟軍」という戦いの図式はこれを以って終了した。

回廊の戦い 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年4月20日~5月18日。ヤン一党(エル・ファシル革命予備軍)と帝国軍の戦い。ヤン・ウェンリー最後の戦いであり、ラインハルトが一度に動員した戦力としては最大級のものとなった。

元よりこの戦いは、言ってみればラインハルトの私戦の傾向が強いものであった。あえて多大な犠牲を払ってイゼルローン要塞を攻略する意味は無く、回廊の出入り口を封鎖しておけば、ヤン一党はいずれ衰退を余儀なくされる。あくまでヤンと勝負してみたいというラインハルトの欲求こそが、戦いの最大の動機であった。ロイエンタール、ミッターマイヤーともにこの戦いにラインハルトが親征することにを反対しており、ヒルダに至っては面と向かってラインハルトに反対の意を表明していた。しかしラインハルトは、それを承知で戦いに臨んだ。

4月20日の時点で、ヤン一党の兵力は艦艇28,800隻/将兵254万7400人。ヤンは流浪時に乗艦としたユリシーズをそのまま旗艦とし、ヒューベリオンはメルカッツが乗艦とした。アッテンボローはマサソイト、フィッシャーはシヴァを乗艦にしている。

  • ヤン艦隊の戦力については諸説あり、原作では28,800隻のうち3割近くが修理や整備を必要とする傷物とされているため、実際の戦闘には2万隻を少し超えた程度しか動員できなかったとする意見もある。実働戦力が2万隻少々であった事を裏付ける間接情報としては、メックリンガー艦隊での「敵は2万を超えます」という報告の後の解説「じつはほぼ全軍であった」(アニメ)や、ビッテンフェルトの「敵は2万隻、こちらはファーレンハイト艦隊を合わせて3万隻、敵軍ことごとく葬って、なお1万隻残るではないか」という発言(原作とアニメ)が挙げられる。

前哨戦 編集

初戦で対決したのは、先発したビッテンフェルト艦隊15,900隻とファーレンハイト艦隊15,200隻、加えて帝国領からイゼルローンに接近したメックリンガー艦隊15,900隻。

戦いに先立って、ビッテンフェルトはヤンに挑発的な降伏勧告を送り、ヤンはそれを利用してメルカッツの裏切りという虚偽の通信を送り返した。ビッテンフェルトとファーレンハイトは信用しなかったが、相手の出方を待つ必要に迫られ、結果として受動的な立場に追い込まれた。この策謀で2艦隊の足を止めたヤンは、20,000隻以上を率いてメックリンガー艦隊に向かった。自分の艦隊より大きな兵力の接近により、メックリンガーは慎重に後退し、それを確認したヤンは反転してビッテンフェルト/ファーレンハイト艦隊に向かい、4月27日、アッテンボロー擬態回廊に引きずりこまれたビッテンフェルトと交戦状態に突入、平行してファーレンハイトも攻撃を開始した。

戦いは消耗戦となったが、狭い回廊の為に身動きがとれず、さらにフィッシャーの巧みな運用によってヤン艦隊に包囲される形となり、帝国軍がより多くの損害を出していた。ビッテンフェルトは正面突破に活路を得ようとしたが、ヤンの包囲は崩れず、一旦後退した。代って前線に突出したファーレンハイト艦隊は、おとり役を演じたアッテンボローの艦隊に砲火を集中し、一旦はヤンの本隊に肉薄したが、突出した為反撃を受ける事となった。この時再編成を済ませたビッテンフェルト艦隊が合流したが、一箇所に集まったため逆に集中砲火を浴びる結果となり、ファーレンハイト艦隊は右翼のメルカッツ艦隊に追い込まれた(この時右翼艦隊に所属していたカリンが初めてスパルタニアンで実戦に出陣し、一機を撃墜して無事に生還している)。

4月30日23時15分、回廊から脱出する僚艦の援護射撃をしていたアースグリムの艦橋が被弾した。ファーレンハイトは瀕死の重症を負い、幕僚も死亡した。ファーレンハイトは従卒の幼年学校生に遺言を伝えて死亡。アースグリムは同25分に撃沈した。2艦隊は回廊から撤退し、ラインハルトの本隊に合流に向った。ビッテンフェルト艦隊の損害は15,900隻の内6,220隻/190万8000人の内69万5700人、ファーレンハイト艦隊の損害は15200隻の内8,490隻/185万7600人の内109万5400人。戦死したファーレンハイトは元帥に昇進し、メルカッツは3日間の喪に服した。

本戦 編集

帝国軍本隊はビッテンフェルト/ファーレンハイト艦隊の残存部隊と合流し、5月3日に回廊に侵攻した。この時点での帝国軍本隊の兵力は艦艇14万6600隻/将兵1620万人。対するヤン一党の兵力は2万隻を切っていた。

アッテンボローが回廊の入り口に500万個の連鎖式爆発機雷を敷設しており、帝国軍はこれを排除しなければ回廊に突入出来なかった。帝国軍はこれに対して統帥本部総長ロイエンタールの案を採用し、まずブラウヒッチ大将の艦隊が半日をかけて機雷源にトンネル状の通路を穿ち、ヤン艦隊に攻撃を開始、ブラウヒッチがヤン艦隊の耳目を集めている間に指向性ゼッフル粒子を使って同時に5箇所のトンネルを開け、そこから各艦隊を侵攻させる、ヤン艦隊が分散する隙に最初にブラウヒッチが開けたトンネルから本隊が突入した。この作戦によって帝国軍は回廊内に橋頭堡を築くに至った。

5月4日12時0分、総旗艦ブリュンヒルトが回廊に突入。分艦隊を指揮するアッテンボローは集中砲火によって対抗し、そこから砲撃戦が展開される。だが狭い回廊内では混乱も多く、ミッターマイヤーの立てた半包囲作戦も味方が作戦通りに動いてくれず失敗した。これを問題としたミッターマイヤーは、後方では戦場の様子が把握しにくいとして20時15分にベイオウルフに移乗して陣頭指揮を執り始めた。疾風ウォルフの戦線参加で帝国軍は勢いづいたが、戦闘自体は膠着したままだった。バイエルラインを突出させてヤン艦隊の一角を突き崩そうとした作戦が失敗に終わった後、ミッターマイヤーは戦力を細分化してヤン艦隊の戦力を削り取る作戦を使ったが、これも遊兵を作り出す結果となった。

5月6日、ヤン艦隊はメルカッツの作戦で帝国軍の左翼を集中砲火し、帝国軍本隊が左翼に移動した瞬間を狙ってマリノの分艦隊がブリュンヒルトに向った。シュタインメッツがこれに気づいて防御陣を敷いたが、その為ヤン本隊に向う事が出来ず、ヤンとメルカッツの艦隊の集中砲火を浴びた。11時50分、艦隊旗艦フォンケルが被弾し艦橋が大破、シュタインメッツは破壊された船体の下敷きになり、親しくしていた女性の名前を呼んだ後に絶命した。報告を受けたラインハルトは、シュタインメッツに代ってヒルダを大本営幕僚総監に任じたが、帝国軍の混乱は収まらなかった。

戦線崩壊の危機を感じたロイエンタールは、バルトハウザー艦隊に側面攻撃をさせてヤン艦隊の足を止め、その間に本隊を後退させて体勢を整える作戦を献じたが、各艦隊がロイエンタールの思い通りに動かず、逆にヤン艦隊につけ入る隙を与えた。あと一歩でブリュンヒルトを討ち取るという時、ラインハルトが瞬時にヤン艦隊の艦列の攻撃ポイントを見抜き、自ら砲撃を指揮した。効果的に損害を与えられたヤン艦隊は撤退し、ロイエンタールは改めてラインハルトの天才ぶりを認識したが、この時ラインハルトの身体に異変が起こっていた。

5月7日23時、一旦要塞に撤収して態勢を整えたヤン艦隊は再び戦闘を開始した。ミュラー艦隊が前線に出て交戦を開始、さらに帝国軍の各艦隊もヤン艦隊に攻撃を加えたが、数が多いゆえに回廊の地形を有効に利用出来ず、戦線は混乱を極めた。8日になっても状況は変化しなかったが、そんな中、ベイオウルフが被弾し、一時はミッターマイヤー戦死の報が帝国を駆け巡った。本人みずから虚報である事を報告したが、この事がきっかけとなり、ラインハルトは戦法の変更を決意。9日の御前会議で作戦の変更が告げられ、10日に戦闘が再開された。一艦隊が縦列突撃しつつ最後の一発まで撃ちまくってから反転し、その直後に次の艦隊が、そして次の次の艦隊も続けて突入し続けるという、単純だが最も効果的な戦法であった。

この手段を選ばない物量作戦に直面したヤンは、慎重に艦隊を運用して対抗し、15日19時20分の黒色槍騎兵艦隊(ビッテンフェルト艦隊に旧ファーレンハイト艦隊を含む)の後退まで持ちこたえた。だがこの時フィッシャーが戦死し、ヤン艦隊は艦隊運用の要を失った。意気消沈しつつ機雷を敷設しなおし、イゼルローンに戻る事を決めたが、その途中である18日、ラインハルトから停戦と会見を呼びかける通信文が届き、戦闘は終了した。帝国艦隊と異なり連戦を強いられたヤン艦隊のメンバーは、出番のなかったローゼンリッターのメンバーを除き、過度の睡眠不足となっており、これ以上戦闘を継続するのは不可能といえる状態まで追い込まれていた。

帝国軍が圧倒的な物量で優位に経ちながらも停戦と会見を呼びかけたのは、ラインハルトが継戦意欲を消失したからである。前述の通りこの戦いは、ヤンと戦い競ってみたいというラインハルトの個人的動機による所が大きかった。ところが単純に数の優位によって勝利するという戦法に帰結してしまったため、ヤン個人に対するラインハルトの勝利という図式ではなくなってしまった。それと相まってラインハルトが病床に伏してしまっため、ラインハルトは無意識下ですっかり戦う意欲をなくしてしまったのである。

しかしラインハルト本人はそれを認めることなく、「キルヒアイスが夢に出てきて、これ以上の流血は無用と諌めた」と主張した。そして、ヒルダを除く誰もが、前述の合理的説明よりもそちらを信じた。

ヤン・ウェンリー暗殺事件 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年6月1日2時55分

5月20日、イゼルローン軍はラインハルトからの通信文を討議した上で、会見に応じる事を決定し、5月25日、ヤン及び随員のパトリチェフ、ブルームハルト、スール、加えてロムスキーとその側近達がラインハルトとの会見に応じる為巡航艦のレダIIで出発した。なお、ヤンの副官であるフレデリカは風邪で同行出来なかった。また、明確な理由は不明ながら、ヤンはユリアンを同行させなかった。

レダIIが出発して3日後、ボリス・コーネフ達がイゼルローンに到着し、アンドリュー・フォークがヤンの暗殺を謀っているという情報をもたらした。ユリアンやシェーンコップ達は直ちにレダIIの後を追った。

5月31日23時50分、3次元チェスを終えたヤンは、自室に向かってシャワーを浴び、翌6月1日0時25分にベッドに入ったが、寝付けない為睡眠導入剤を服用して怪奇小説を読み始めた(アニメ版では、田中芳樹の「夏の魔術」を読んでいる)。0時45分、眠ろうとしたヤンの元に「帝国軍(を装った地球教の暗殺部隊)からフォークの暗殺計画と武装商船の奪取に関する通信が届いた為艦橋に来て欲しい」と連絡が入った。薬の為半分寝ぼけた状態のヤンが艦橋に出向いたのと前後して、フォークが乗っ取った武装商船を帝国軍の駆逐艦が破壊したと通信が入った。挨拶の為移乗したいという駆逐艦からの要請にスールは疑問を口にしたが、ロムスキーやその側近は要請を受諾した。レダIIに移乗した途端に本来の姿を現した地球教徒達は、ロムスキー達を射殺してヤンを探し始めた。事態の急変に気が付いたヤンの随員達は、ヤンを逃がす一方で応撃を開始したが、ヤンを奥の扉に押し込んだパトリチェフが射殺され、続いてスールが負傷した。

2時4分、レダIIと帝国軍の駆逐艦がいる宙域にユリシーズが到着し、ユリアンとマシュンゴ、そしてシェーンコップが率いるローゼンリッターの隊員達がレタIIに乗り込んで来た。ユリアン達は敵を倒しながらヤンを探し始めた。

2時40分、一人で船内を歩いていたヤンの前に、帝国軍の軍服を来た男が現われ、ヤンを銃撃してそのまま逃走した。太ももの動脈叢(そう)を撃ち抜かれたヤンは、多量の出血によって立っていられなくなり、通路の壁ぎわに座り込んで、そのまま意識を失くし、2時55分に死亡した。33歳。

3時5分、ユリアンがヤンの遺体を発見した。直後に現われた帝国軍の軍服を着た数名がユリアンの狂乱によって殴り殺された後、マシュンゴが死体を抱きかかえてシェーンコップ達の元に戻った。ブルームハルトの死を見届けたシェーンコップは、続いてヤンの死を知り、震える手で敬礼を施した後、ユリアンに敵が地球教徒である事を知らせた。ヤン達の遺体と生け捕りにした地球教徒をユリシーズに移した後、3時30分、ユリアン達はその場を離れた。

6月3日11時30分、ユリシーズがイゼルローンに帰還した。ユリアンはキャゼルヌ夫人に促されて自分でフレデリカに報告し、6日、司令官代行としてヤンの葬儀を行った。同日19時10分、イゼルローンから発せられたヤンの死を知らせる通信文を帝国軍が受信し、25分、ヒルダによってラインハルトの元に届けられた。ラインハルトは憤激にかられてヒルダに八つ当たりした後落ち着きを取り戻し、ミュラーを弔問の使者に指名した。

結局ラインハルトは喪中の敵を討つを潔しとせず、またミッターマイヤーはイゼルローン攻略に元より反対だった事から、帝国軍は撤退する事になった。ロイエンタールはヤン存命中の(採るべき)戦略が死後においてもそうとは限らない(ヤンがいたからこそイゼルローン攻略はすべきではなかったのであり、ヤンがいない今は攻略の好機)という事から撤退には賛成では無かったのだが、ラインハルトとミッターマイヤー双方が攻略に反対しているなら自分のほうが折れるべきという事で、撤退に賛成する事になる。翌7日、帝国全軍に撤退命令が発令され、各提督達は戦後処理に奔走する事となった。

ウルヴァシー事件 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年10月7日。ガンダルヴァ星系の惑星ウルヴァシーで発生したラインハルト暗殺未遂事件。

9月9日、新領土の総督となったロイエンタールがラインハルトに行幸を求めた。これと前後してロイエンタールの叛意が帝都で噂になっており、それに基づいてオーベルシュタインが自制を求めたが、ラインハルトはそれを却下し、一個艦隊の護衛も拒絶した。だが今回は、ミッターマイヤー以外の提督達も不安を拭い切れず、ラインハルトに指名されたミュラーに加え、ルッツも、ハイネセンにいる妹とその夫の話を持ち出して同行を志願した。ラインハルトはこれを認め、さらにミッターマイヤーの提案によって50~100隻の護衛が認められた。なお、これに先立って私的な問題が生じていたヒルダはフェザーンに残留した。

10月7日、ハイネセンに先立って戦没者慰霊の為にウルヴァシーに立ち寄り、21時10分に司令部に隣接した迎賓館に入った一行は、23時30分になって、ヴィンクラー中将率いる駐留軍50万の動向に不審な様子がある事を知り、とりあえず戦艦ブリュンヒルトに戻る事を決めた。だが軍事宇宙港に向かう途中で車が襲撃され、さらに通信でブリュンヒルトが攻撃を受けている事が判明した為、一行は近隣の人造湖でブリュンヒルトと合流する事にした。車を捨てて人造湖に向かう途中で、虚報でおびき出されていたリュッケとも合流したが、その直後にラインハルトを狙う帝国軍人達と遭遇した(その上官の言葉でラインハルトに賞金10億帝国マルクがかけられている事が判明している)。その一人が寝返って仲間を撃ち、謝罪の後に同行を許されたが、直後に後続の追撃者に射殺されてしまい、このままでは追撃されると判断したルッツが、居残って退路を守る事を申し出た。ミュラーは反対し、更にミュラーに加えてキスリングも残ると申し出たが、ルッツの決意が固いと察し、苦渋の思いで銃のエネルギー・パックを渡して先を急いだ。ラインハルトはルッツに、最後は降伏しろと命じたが、ルッツはそれに反してブリュンヒルトが離水するまで抵抗を続け、最後は左胸部と側頭部を撃ち抜かれて絶命した。

この事件は、グリルパルツァーの調査によって地球教の仕業と判明したが、背後でラングとルビンスキーが暗躍し、ロイエンタールが叛するように仕向けていた様子が伺える。しかし、自分の立場を強化することを考えたグリルパルツァーにより、地球教によるものという情報が隠匿され、ルッツの死も重なってロイエンタールは叛逆せざるを得ない状況に追い込まれてしまう。この2つの要素が無ければこの謀略は成功していなかった可能性があるとも言われている。なお、後になってメックリンガーによる再調査が行われ、事件の真相が明らかになった。

第2次ランテマリオ会戦 編集

宇宙暦800年/新帝国暦2年11月24日~。叛乱を起こしたロイエンタールと、討伐を命じられたミッターマイヤーの戦い。

きっかけとなったウルヴァシー事件が発生したのは10月7日、叛乱発生の日時は明確な宣戦布告が無いため不明だが、行方不明だったブリュンヒルトが発見された10月29日には、既に叛乱が既成事実となっていた。ラインハルトがミッターマイヤーに(拒否権付きで)討伐を命じたのは11月1日、ミッターマイヤー艦隊及び配下に加わったビッテンフェルト/ワーレン艦隊が影の城付近に集結したのは同4日(進発も同日と思われる)、ラインハルトがロイエンタールの新領土総督と元帥号を剥奪したのは同16日、同日ロイエンタールはミッターマイヤーと最後の交信を行ったが、交渉は決裂している。

ロイエンタール側の兵力は艦艇35,800隻/522万6400人(ただしこれは新領土総督に任じられた時の兵力。その後の損害や脱落は不明だが、開戦時に約520万と記述されているので、この数値に近いと思われる)。配下のグリルパルツァーは、派遣されていたウルヴァシーの捜査から戻ってきた時点で裏切りを企んでいたが、表面上は叛乱に同調し、クナップシュタインもグリルパルツァーに説得されてロイエンタールに協力を約束した。

ミッターマイヤー側の兵力はビッテンフェルト/ワーレン艦隊を合わせて艦艇42,770隻/将兵460万8900人。これに加えてメックリンガー艦隊11,900隻がイゼルローン方面から侵攻している。ただし開戦時はミッターマイヤー艦隊(将兵259万人)のみであり、ビッテンフェルト、ワーレンは遅れて戦場に到達する。

11月24日9時50分。対峙した両艦隊は正面から砲撃戦を開始した。当初は戦力差からミッターマイヤーが不利だったが、機動能力を最大限活用して戦況を拮抗させていた。25日8時30分、ビッテンフェルト艦隊の内脱落を免れた約1万隻が戦場に到着し、ロイエンタール軍の左翼に攻撃を開始した。同日19時、ワーレン艦隊が到着し、戦力比はほぼ対等となった。だがその直後、バイエルラインの分艦隊がロイエンタールの策略で包囲網に引きずり込まれて損害を出し、副司令官のレマー中将は戦死した。

ミッターマイヤーはロイエンタール軍の弱点が、配下になって間もないクナップシュタインやグリルパルツァーにあると考え、攻撃を集中した。29日6時9分、クナップシュタインが乗艦もろとも戦死。その為クナップシュタイン艦隊は指揮系統を失い戦力を低下させたが、ロイエンタールは巧緻を極めて不利な戦況を転換し、ビッテンフェルト艦隊に打撃を与えた。守勢に弱いビッテンフェルト艦隊の各艦艇は後退の気配を見せたが、「退く奴は砲撃する」というビッテンフェルトの暴言をオイゲンが通信で流した為、かろうじて踏みとどまり、シュワルツ・ランツェンレイターと旧ファーレンハイト艦隊との反目も逆に好作用して猛反撃に転じた。30日16時、そのビッテンフェルト艦隊が後退してロイエンタール軍が一時優勢となり、火力と機動力を駆使して左側面から反包囲しようと試みたが、ワーレン艦隊の奮闘で阻止された。乗艦のサラマンドルが被弾してワーレンの義手が吹き飛ばされながらも指揮を取りつづけたエピソードは、この時のものである。

戦闘はその後も続いたが、12月3日、メックリンガー艦隊がイゼルローン回廊を通過してハイネセンに向っているという報告を受けたロイエンタールは、戦闘継続を断念して後退に転じた。ミッターマイヤーはなおも追撃したが、12月7日、反転迎撃を始めようとしたロイエンタール軍に、その一艦隊であるグリルパルツァー艦隊が攻撃を加え始めた。裏切りに気がついたロイエンタールは反撃に転じたが、乗艦のトリスタンが被弾し、吹き飛ばされた艦の建材の一部がロイエンタールの左胸部を貫いた(奇しくもウルヴァシー事件の際に、ルッツが最後に撃たれた部分と同じ場所であった)。また、グリルパルツァー艦隊の裏切り行為に対して、最も反撃を試みたのは戦闘中裏切るつもりであったことを知らなかったクナップシュタインの残存艦隊であったのは皮肉といえる。グリルパルツァーは返り討ちにされ、ロイエンタール艦隊主力は烏合の衆と化したが、デュッタースドルフ分艦隊が殿軍として残り、ロイエンタールは戦場を脱出してハイネセンに撤収、戦闘は終了した。

ロイエンタールは瀕死の身ながらなお毅然としてハイネセンに帰り着き、「最後の御奉公」としてラインハルトに侮辱の言葉を吐いたヨブ・トリューニヒトを射殺し、酒盃を前にミッターマイヤーを待った。

だが、疾風ウォルフは一番大事な時に疾風となれず、親友の死に際に間に合わなかった。

帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い(第11次イゼルローン攻防戦) 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年2月12日~14日。イゼルローン(共和政府)革命軍と帝国軍艦隊との交戦。ユリアンが初めて作戦を立案し、艦隊指揮を執った作戦でもある。この年の初頭からハイネセンで頻発したテロや暴動に関連して、イゼルローン共和政府の立場を明確にしなければならないという政略的配慮が必要になり、ユリアンが戦う事を決断した。

イゼルローン軍が進発したのは2月7日。回廊の帝国本土方面の警備を担当していたヴァーゲンザイル艦隊に向かい、それを知ったワーレン艦隊は後背を突く為2月8日に進発した。この時点で、ヴァーゲンザイル艦隊は8,500隻、旧同盟領に駐留するワーレン艦隊は15,600隻。対するイゼルローン軍はユリアン率いる本隊が6,600隻、これに加えてメルカッツが率いる別働隊(艦艇数は推定で数千隻程度)が存在する。

戦闘開始は2月12日4時35分、帝国本土方面の出口に近い宙域で、イゼルローン軍本隊とヴァーゲンザイル艦隊が交戦を始めた。砲撃戦に加えて単座式戦闘艇どうしの空中戦が展開され、ポプラン率いるスパルタニアンのチームが戦史に残る戦果をあげたが、イゼルローン要塞に近づけてトール・ハンマーを使うというのがイゼルローン軍の作戦であったため、全体としては帝国軍が進み、イゼルローン軍は後退した。ヴァーゲンザイルはこの作戦に気がついていたが、平行追撃に持ち込めばトール・ハンマーを無力化出来ると考え、前進を続けた。

2日間の退却戦の後、イゼルローン軍はヴァーゲンザイル艦隊をトール・ハンマーの射程に引きずり込んだ。それに気がついたヴァーゲンザイルは退却を始めたが、トール・ハンマーの一撃を受けて混乱状態に陥った。一方のユリアンは逆方向から進撃するワーレン艦隊に向った。この時点でヴァーゲンザイル艦隊はメルカッツの別働隊を認識出来る位置にあったが、自分達が逃げるのに精一杯でワーレン艦隊にその報告をしなかった。一方ワーレン艦隊はヴァーゲンザイル艦隊の援護の為に危険宙域に留まり、トール・ハンマーのエネルギー充填までの時間を見計らってイゼルローン本隊と交戦に移った。時間的にも数的にも勝算はあったが、それまでワーレン艦隊の死角に潜んでいたメルカッツの別働隊が左側面から攻撃を開始し、結果としてワーレン艦隊はトールハンマーの直前で立往生する形となった。艦隊運用の目論みが外れたワーレンは態勢を整えつつ撤退を始めようとしたが、20時15分、エネルギー充填を完了したトール・ハンマーの砲撃を受け、数千隻単位の艦艇が破壊もしくは戦闘不能となり、さらに200秒後に第2撃を受けた。ワーレンは、ヴァーゲンザイル艦隊の撤退を確認した上で、20時45分に撤退命令を出した。イゼルローン軍が完全撤退を確認したのは21時40分。

オーベルシュタインの草刈り 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年3月21日~5月20日第11次イゼルローン攻防戦での敗退や新領土で発生している混乱に対して、帝国は2月18日に皇帝親征を行う事を発表した。だが翌19日になってラインハルトが高熱を発し、3日間も下がらないという状態になった為、親征は延期され、その代わりに軍務尚書のオーベルシュタインが全権代理として派遣された。

3月20日にハイネセンに到着したオーベルシュタインは、翌日から直属の陸戦部隊を使って「危険人物」とされる旧同盟の要人を初め五千人以上を連行/収監し、4月10日、イゼルローン共和政府及び軍に対して、彼らの解放を欲するのならハイネセンに出頭せよと通達した。

これに先立つ4月1日、オーベルシュタインに同行していたビッテンフェルトとミュラー、及びガンダルヴァ星域から到着していたワーレンが、その方法を由とせずオーベルシュタインに談判を持ちかけたが、論争の過程でオーベルシュタインが帝国の実戦部隊に対する誹謗(言われた側はそう受けとった)を口にしたため、ビッテンフェルトがオーベルシュタインにつかみかかるという事態が発生した。ビッテンフェルトは謹慎を命じられ、ミュラーとワーレンも退去を命じられた。4月4日、この経緯がラインハルトに知らされ、ラインハルトはヒルダと相談の上、延期になっていた皇帝親征を行う事を決めた。

イゼルローン側は議論の末、政府代表のフレデリカと軍代表のユリアン、及び軍幹部のシェーンコップやアッテンボローがハイネセンに向かう事になった、また「佐官は残れ」というシェーンコップの提案をリンツやスールは不承不承ながら受諾したが、ポプランは無視して強引に同行した。なお、キャゼルヌは、名目上は留守のイゼルローン要塞を管理運営する責任から(ただし本当は家族がいる為)、メルカッツはユリアンの懇請によって艦隊運用のために残留した。

4月17日、乗艦のユリシーズ及び護衛部隊が回廊を出て帝国の哨戒域に入った時点でラグプール事件が発生している事が判明した為、彼らは様子を見るため一旦引き上げる事となった。しかし18日、随行する巡航艦の故障がきっかけとなり、百隻ほどの帝国艦隊に追撃される事態が生じた。アッテンボローの艦隊運用によって回廊に逃げ込む事に成功し、さらにメルカッツの救援によって回廊内で安全を確保したが、ユリアンは今後の展開を見越してフレデリカのみをイゼルローン要塞に戻し、そのまま回廊の出口付近に艦隊を展開させた。

一方、ラグプール事件の報が、ハイネセンに向かっているラインハルトにもたらされ、ラインハルトはオーベルシュタインの不手際を責めた。オーベルシュタインはその叱咤を受けながらも、4月29日にはルビンスキーを逮捕している。5月2日、ハイネセンに到着したラインハルトは、御前会議の席でビッテンフェルトによる謝罪と告発を処理した後、収監していた者たちを5月20日に解放する事を公表し、同時に、改めてイゼルローン共和政府に対して出頭を呼びかけた。これによって政治的に不利になった事を悟ったユリアンは出頭する事を考え始めていたが、実行する前にシヴァ星域会戦が発生した。

柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上事件 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年5月14日。フェザーンで発生したテロ事件。

11時15分、憲兵本部に「地球教のテロ」を予告する匿名の電話があり、その15分後にローフテン地区の油脂貯蔵庫で爆発が発生、さらに市外との通信システムの一部が破壊されるなど各所で連続して異変が生じた為、憲兵隊と首都防衛部隊は戦力を分散させて対処した。これがテロを起こした犯人の目的だった事が後に判明したが、この日、ケスラーが視察のため帝国中心地区を離れていたため、当初この目論見に気が付くものはいなかった。15時になってようやくケスラーが事情を知り、目的がヒルダとそのお腹の子供である事を察知して兵力をヒルダ達のいる柊館(柊宮)に向かわせたが、既に暗殺犯たちは柊館に入っていた。

この日、アンネローゼが柊館を訪ねてきており、暗殺犯たちが次々に二人を狙ってきた。ケスラー達は館の外までたどり着いていたが、館に火事が発生しており、探査システムが役に立たない為動きがとれなかった。だが、その時外出先から戻ってきた近侍のマリーカ・フォン・フォイエルバッハがヒルダ達の所在をケスラーに教え、ケスラーは単身乗り込んで暗殺犯を射殺し、ヒルダとアンネローゼを救い出した。だがその時、ヒルダに陣痛が発生しており、アンネローゼやマリーカに付き添われて病院に搬送された。19時40分、柊館が焼け落ち、事件は一応終息した。一方、22時50分、ヒルダが(後にアレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムと名づけられる)男児を産んだ。

なお、この事件を通じて知り合ったケスラーとマリーカは、ヒルダが取り持つ形で交際を始め、2年後に結婚している。

エフライム街の戦闘 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年5月17日~18日。憲兵隊による地球教の活動根拠地の制圧。

柊館事件で逮捕した地球教徒に対し、憲兵隊は自白剤を使った尋問を行い、フェザーンでの活動根拠地がエフライム街40番地にある事、ヒルダのいるハイネセン中央病院襲撃を企てていることを突き止めた。ケスラーが率いる武装憲兵10個中隊が包囲し、17日22時に戦闘が開始され、18日1時30分に戦闘が終了した。ケスラーいわく「美の一分子もない」死闘の果て、地球教徒224名のうち死亡221名(うち29名が服毒自殺)、重傷3名。憲兵隊側も27名の死亡者を出している。

シヴァ星域会戦 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年5月29日~6月1日。民間宇宙船ニュー・センチュリー号に端を発する遭遇戦によって始まったイゼルローン革命軍と帝国軍本隊との戦闘。物語上の帝国側対共和主義者という図式の戦いはこれが最後となる。この戦いの後、イゼルローン共和政府とローエングラム王朝との間で和平交渉が行われ、イゼルローン要塞の明け渡しやバーラト星系の自治などが合意に至った。また、帝国側の主人公ラインハルトの生涯最後の戦いでもある。

シヴァ星域会戦の前哨戦 編集

5月末、亡命者900名を乗せた民間宇宙船ニュー・センチュリー号がイゼルローン回廊に入る直前、動力部に異常が発生して救援信号を発した。信号は両軍を呼び寄せ、結果として戦闘が開始された。

当初はイゼルローン軍約2,000隻と、それより少ない帝国軍の警備部隊との小競り合いで始まったが、ドロイゼン艦隊数千隻が援軍に駆けつけ、一方のイゼルローン軍も要塞に援軍を求めた。戦闘開始2時間後にドロイゼンは戦略的価値を見出せない事を悟って艦隊を撤退させたが、イゼルローン軍が反転撤退出来ない様に追撃の姿勢を解かなかったため、イゼルローン軍はその場に留まらざるをえなかった。一方、ハイネセンに駐留していた帝国本隊にこの戦いが報告され、ラインハルトは自ら進発する事を宣言した。

シヴァ星域会戦の本戦 編集

戦闘開始は5月29日8時50分。帝国軍の兵力は艦艇5万1700隻/将兵584万2400人、イゼルローン軍は9,800隻/56万7200人。

戦闘開始15分後にイゼルローン軍は撤退を開始した。それがトール・ハンマーの射程に引きずり込む罠だと帝国軍は承知しており、一進一退を繰り返す形となった。イゼルローン軍は戦力不足というより兵員不足に陥っており、乏しい艦船のうち相当数を囮の無人艦隊として形だけの運用を余儀なくされ、実戦力はさらに乏しかった。が、この時点でラインハルトが体調不良に陥っており、帝国軍の動きが鈍重になっていた為、かろうじて戦線を保っていた、この状態に限界を感じていたビッテンフェルトは、30日23時30分に猛進を開始し、イゼルローン軍左翼のアッテンボロー分艦隊に損害を与えた。これにより、イゼルローン軍は一旦撤退する様子を見せ、ビッテンフェルトは31日2時40分にラインハルトに追撃を具申した。仮眠中だったラインハルトはベッドから起きて着替えを済ませ、艦橋に入ったところで昏倒した。

大本営幕僚総監のメックリンガーは事の重大性を踏まえて事態の秘匿を謀ったが、艦隊司令長官のミッターマイヤーが乗りこんでいるベイオウルフだけには報告を入れた。ミッターマイヤーは仰天しつつも、折り返し通信の封鎖を大本営に要請した。が、すでにポプランがスパルタニアンの通信回路に入ってきた「皇帝、不予」の通信を聞いており、ユリアンに報告した。ユリアンもまた愕然としつつ、知らせて来たポプランとシェーンコップメルカッツ、アッテンボローを集めて会議を開いた。このまま撤退しても帝国艦隊は追撃して来ないだろう(すなわちトール・ハンマーの射程に誘い込むのは不可能)、そして再戦の機会があってもその時はさらに状況は不利になるとして、強襲揚陸艦でブリュンヒルトに乗り込むというシェーンコップの提案を採択した。そしてユリアンは自らも乗り込んでラインハルトに直接談判する事を決め、ポプランとマシュンゴが同行した。

6月1日1時、イゼルローン軍はメルカッツとアッテンボローによる艦隊運用と無人艦隊の自爆で帝国軍前衛部隊の態勢を崩し、そこから強襲揚陸艦イストリアを突入させ、1時55分、ブリュンヒルトにユリアン達とローゼンリッターを送り込んだ。

この時ユリアンの顔を知っていたミュラーが、敵主将自らの突入という非常事態に気づいたが、ラインハルトは「そのミンツなる者に予の元まで自力でたどり着くだけの力があるのなら、会談に応じてもよい。それだけの力もないのなら、何を要求する資格もない」と一切の手出しを禁じた。

白兵戦は一進一退となり、ローゼンリッターが居残って追撃を防ぎ、ユリアンとポプラン、マシュンゴはラインハルトの元に向う事になった。途中でマシュンゴがユリアンを庇って銃撃を受け戦死し、ポプランは親衛隊長キスリングと一騎打ちをしながらユリアンに前進を促した。そしてユリアンはついにただ一人ラインハルトの部屋に進み入り、ミッターマイヤーとミュラーが見守る中、ラインハルトに交渉の用意がある事を告げつつ失神した。ラインハルトはミッターマイヤーに戦闘停止を告げさせ、戦闘は終結した。なお、これに先立ってシェーンコップとメルカッツが戦死しており、それらを含めてイゼルローン軍は参加者52万人の内20万人余の戦死者を出した(なお、この6月1日はヤン・ウェンリーの命日でもある)。帝国軍は主要提督の戦死は無かったが、ラインハルトが不治の病に侵されている事が知らされた。

ルビンスキーの火祭り 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年6月13日~3日間。ハイネセン・ポリスで発生した爆破炎上事件。後日判明した犯人の名前から、一般的な俗称として広まった。

13日20時に、脳腫瘍で市内の病院に入院していたアドリアン・ルビンスキーが、自ら生命維持装置を外して死に至った。その途端、地下で大規模な爆発が発生、旧同盟の最高評議会ビルが崩壊したのを始め多くのビルが倒壊した。同時に市内各処で火災が発生し、3日間に渡って炎上が続いた。市街地の30パーセントが焼失し、死者及び行方不明者は5000人をこえた。また、仮設大本営が置かれていた国立美術館も火災をまぬがれず、ビッテンフェルト達が避難を嫌がるラインハルトを無理やり救出したが、美術品の搬出には全く関心を示さなかった為、その後、メックリンガーから暗に非難された。

一方、オーベルシュタインが憲兵隊に不審人物を検挙させたが、その中にドミニク・サン・ピエールがいたため尋問を始めた。ドミニクは、この事件がルビンスキーによるラインハルトの殺害を狙ったテロである事を白状し、事件の真相が明白になった。

仮皇宮の戦闘 編集

宇宙暦801年/新帝国暦3年7月26日、フェザーンのヴェルゼーデ仮皇宮で発生したテロ事件。この日、ラインハルトが危篤状態に陥っており、アンネローゼ、帝国の提督達、及びユリアン一行が仮皇宮に集められていた。なお、ミッターマイヤーだけは、家族を連れてきて欲しいというラインハルトとヒルダの頼みにより、仮皇宮を離れていた。

7月8日に正体が発覚したレオポルド・シューマッハの証言から、地球教徒の残党グループ約30名がラインハルトの命を狙っている事が判明し、オーベルシュタインに報告された。オーベルシュタインはそれを逆用して、偽情報を流して残党グループがヴェルゼーデ仮皇宮を襲撃する様に仕向け、一網打尽にする事を謀った。ラインハルトを囮にするという方策を聞かされた提督達は(それでなくてもラインハルトの病状に精神状態が不安定だった事もあって)激高したが、既に事態は動いており、まず襲撃に対処する必要があった。

20時15分、ケスラーの部下が最初の一人を射殺し、同時にユリアン達も動き始めた。当初、彼らは武器を持っていなかったが、射殺された地球教徒を発見してアッテンボローがブラスターを手に入れ、さらにそれで別の地球教徒を撃退して武器を手に入れた(アニメ版では、この地球教徒が2丁の銃を持っていたので、ここでユリアンとポプランも武器を手にしている)。

20時25分、ある一室が爆破され、在室していたオーベルシュタインが死に至る重症を負った(後日の証言によると、地球教徒はこの部屋にラインハルトがいると信じ込んでいた。オーベルシュタインが自ら囮になったのかどうかは不明)。この直後、地球教徒の1グループが逃げようとする所をユリアン達が追撃し、足止めした一人を除いて射殺したが、その一人がド・ヴィリエだった。相手がヤンの讐(かたき)だと気が付いたユリアンは、乱心した様子でド・ヴィリエを射殺したが、その直後に帝国軍の兵士達が現われた為、ユリアン達は武器を放棄して戦闘継続を断念した(アニメ版では、ワーレンがこの帝国軍の兵士達を引き連れており、ユリアン達とは早急な意思の疎通が成立している)。

この戦闘の後、ミッターマイヤーが家族を伴って仮皇宮に戻ってきた。そして23時29分、ラインハルトが崩御し、ミッターマイヤー一家の退場シーンを最後に、物語本編が終了した。

関連項目 編集